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海外先物を使って例年お決まりの天然ガスのサヤ滑りを収益化する

※本記事は海外先物の話です。天然ガスCFD関連は以下の記事のほうが参考になると思います
ファンダメンタルズ的な季節傾向を利用した1-2月の天然ガスのトレードプラン
天然ガスブル3倍ETNの特徴と取引上の注意点、攻略のヒント。

CFDを使ったトレードでは価格の上下を当てて利益を取りに行きますが、海外の先物市場(NYMEX)で直接トレードすることを厭わなければ、多彩な収益機会を利用することができます。本稿では一例として私が毎年冬場(11~3月頃)に行っている天然ガスのスプレッドトレードをご紹介しましょう。

天然ガスは、そのままでは空気中に拡散して飛んでいってしまうため、タンクや地下貯蔵施設に保管しなければなりません。タンクの増設はコストがかかるため米国では主に、枯渇したガス田を利用して地下にガスを押し込んで保管しています。

原油と天然ガスを比較すると、液体である原油のほうが保管は容易だと考えられます。つまり気体の天然ガスは保管コストが高いという問題があります。

ここで先物の理論価格を思い起こしてみますと「先物価格=現物価格+保管コスト」となりますので、天然ガスは保管コストが大きいゆえに、本質的にコンタンゴ(順鞘)になりやすいコモディティであると考えられます。実際のところは単に保管コストだけでなく冬場の暖房需要に使われるだとか、夏場の発電需要に使われるといった季節要因があるため、限月ごとに特徴的な動きをすることになります。

限月ごとの特徴としては冬の限月は高く、春の限月は安いという特徴があります。暖冬の場合は3月限あたりの端境期的な限月も売られますが、厳冬の場合は4月限でも思わぬ高値になることがあります。このため天然ガスが高値をつけたときに、安全を見て5月限あたりを売り(1~3月限が高いと吊られて上がるため)、夏限月の8月あたりを買う、という方法で、保守的に利益を狙うことができます。負けるときもありますがミドルリスクミドルリターンの戦略であるといえます。

下図はNYMEXの天然ガス先物の8月限と5月限のスプレッド(サヤ、価格差)です。2018年の緑色の線に注目して下さい(執筆は2017年12月ですが、来年の先物だから2018年になってます)。例年は12月頃から3月頃にかけて、8月限と5月限のスプレッドが拡大していることがわかります。

NYMEX天然ガスの8月と5月のスプレッド

海外市場で直接トレードできる環境がある人は、こうした傾向を収益化することができるというわけです。天然ガス先物の倍率は10000倍なので左軸で0.0400から0.0600まで広がった場合は、200ドルの利益になるということを意味します。NYMEXでスプレッド注文を出す場合の証拠金はSPANマージンなので(リスク量に見合った証拠金額に減額されるので)、このスプレッド注文1組あたりの必要資金は高々1000ドル程度です。3000ドルほど預けておいて、スプレッドを3組仕掛けて2ヶ月放置して1000ドル取りに行く、というようなミドルリスク・ミドルリターンな取引となります。

売買タイミングは、天然ガス在庫量の例年との比較や、米国の気温予想などを参考にします。下図はEIA発表の天然ガス在庫統計です。

EIA発表 天然ガス週間在庫統計(2013~2017年比較)

NYMEXで天然ガスのスプレッドの拡大狙いの注文を出す場合は「スプレッドの売り注文」となります。期限の短い先物を売って期限が長い先物を買うスプレッド注文は「売り」、期限の短い先物を買って期限が長い先物を売る注文は「買い」です。要するに期限が短い先物を中心に売りと買いが決まります(これは東京市場でも同様です)。

残念なことに、この種のトレードを行うためには海外のブローカーに取引口座を開かなければなりません。楽天証券でも海外先物取引が可能になっていますが、取引所の提供しているスプレッド注文に対応していない、という問題があります。NYMEXではスプレッド注文を提供しており、スプレッドの値を指定して指値することができ、売りまたは買いの片方しか約定しない、ということはありませんし(必ずスプレッドとして約定する)、注文時の拘束資金もスプレッドに応じた低額の証拠金です。

英語が得意な人はfutures discount brokerなどのキーワードでググればブローカーを見つけることができるでしょう。ただし申し込み書類は難解な法律用語が並び(例えば外国税務コンプライアンス法に関する英文書類にサインが必要だったりします)、またW8-BENのような日米租税関係の書類の書き方も迷う人が大半でしょうから日本人経営のブローカーに口座を開くというのもアリでしょう。例えばシカゴダイレクトという会社は日本人経営のIB(introducing broker)であり書類の書き方は教えてくれますし、困ったら電話やメールで日本語で相談できます。私は十数年前から細々と愛用しています。ここは直接注文を受けるわけではなくて、実質的な注文取次先(資金の預け入れ先)は米国商品先物取引委員会から認可を受けている大手会社のR.J. O’Brienとなっています。
※2018年2月にシカゴダイレクトは廃業しました。日本語OKで小資金OKで、先物スプレッド注文可能な海外先物会社は、、、無いかも。英語できればありますが。

EIA週間統計:天然ガス在庫推移(グラフ)
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OPEC総会前後の原油オプションの挙動
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ハリケーンが米国の原油、ガソリン価格に与える影響

EIA週間統計によると原油在庫は3週連続の増加ですが、ハリケーンの影響を判断するためには石油製品の在庫や製油所稼働率も見たほうが良いです。

下図は2017年9月13日発表のEIA原油在庫(全体、クッシング)、石油製品在庫(ガソリン、中間留分)です。

EIA発表 週間在庫統計 原油(2013~2017年比較)

EIA発表 週間在庫統計 クッシング(2013~2017年比較)

EIA発表 週間在庫統計 ガソリン(2013~2017年比較)

EIA発表 週間在庫統計 中間留分(2013~2017年比較)

原油の在庫が増えて、石油製品の在庫が減少していることがわかります。製油所稼働率を下図に示します。
米国製油所稼働率2013-2017

ハリケーン・イルマの影響で、製油所の稼働率が極端に低下している様子がよく分かります。製油所がたくさんあるエリアにハリケーンが襲来した影響で多くの製油所が停止したためです。一方でアメリカは国土が広大ですから、ハリケーンの影響を受けにくいエリアで生産された原油や、カナダからパイプラインで運ばれてくる原油は、どんどんクッシングに集まりますから、製油所稼働率が落ちることで原油が「余る」ことになります。(実際のところはナイジェリア等から輸入した原油はタンカーで運ばれてくるので、それらの荷揚げが滞る影響とのトレードオフとなりますので、そう単純ではないのですが)

前回の大きなハリケーンは2008年のハリケーン・アイクです。2008年の製油所稼働率は下図の通りです(2008-2012年の比較図となっています)。2005年のハリケーン・カトリーナのデータまでは筆者は揃えていませんので興味ある方ははEIAのデータでご自分で作成してみて下さい。

米国製油所稼働率2008-2012

ハリケーン襲来時の原油が上がるか下がるかは分かりませんが、製油所はメキシコ湾岸に多くあるため、製油所稼働率が大きく低下してガソリン価格は暴騰しやすい傾向があります。下図はハリケーン・イルマ(2017年)、ハリケーン・アイク(2008年)、ハリケーン・カトリーナ(2005年)襲来時の、ニューヨーク市場のクラックスプレッド(ガソリン価格と原油価格の差。見やすくするために単位はドル/バレルにしてあります)です。

ハリケーン・イルマ(2017年)がクラックスプレッドに与えた影響

ハリケーン・アイク(2008年)がクラックスプレッドに与えた影響

ハリケーン・カトリーナ(2005年)がクラックスプレッドに与えた影響

ハリケーン襲来時のガソリン価格の変動は極めて激しいです。あっという間にバレル換算で10~20ドル程度暴騰することもあり、取引にはかなりのリスクがあります。上級者は積極的に狙うことも可能かもしれませんが、一般的な話として、こういうときは近寄らないのが無難です。取れそうでヤラレますw

原油CFDを扱うCFD会社の比較。銘柄、手数料、スプレッドなどなど。
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原油CFDの鞘滑り取りでコンタンゴを収益化する

古くから知られた利殖ノウハウの一つとして「鞘滑り取り(さやすべりとり)」というものがあります(ローリング[Rolling]ともいいます)。簡単に言うと「順鞘の先物は割高なので売りが有利。だから順鞘時に売って長期間ほったらかしにして、順鞘による減価を時間をかけて収益化する」という技法です。多少値上がりしても資金不足にならないような資金配分で売るのがポイントで、資金が少ない人が過大な数量を売るとたちまち追証攻めにあって破綻してしまうので、簡単に見えて奥の深い手法です。価格が1.5倍になっても鼻歌を歌える程度の資金配分で取り組むべき手法と言えるでしょう(下に出ている例はうまく行った例であり、実際は失敗して酷い目に遭う可能性もある戦略です!注意!)。なお、鞘滑り取りは、世界三大利殖の一つで、残り二つは鞘取り、オプションの売りです。

原油CFDの場合は取引会社が自動的にロールオーバーしてくれる仕組みになっています(一部例外あり)。WTI原油先物は、多くの期間で順鞘(コンタンゴ)のことが多いため、原油CFDを控えめに売って長期間ほったらかしにすることで、手間をかけずに鞘滑り取りを実行することができます。もちろん、順鞘が潰れて逆鞘(バックワーディション)になる可能性も否定できませんが、WTI原油先物市場に突っ込まれた投機資金のロールオーバー時の挙動を考えると逆鞘化する可能性よりコンタンゴが継続する可能性のほうが高いであろうと筆者は考えています。

実例を見てみましょう。下図は2008年に原油が暴騰してから暴落したときのチャートです。2009年の最初の日に原油CFDを46.34ドルで追撃売りを行い(逆張りで買いたくなるのを我慢して逆に売る)、4月末に51.12ドルで買い戻したとしましょう。
WTIつなぎ足チャート(2008年1月~2009年12月)

拡大図は下図となります。46.34ドルで売って、51.12ドルで買い戻すので、損に決まってるだろ?と思うでしょ。ところが、毎月のロールオーバー時の「価格調整額」を考慮すると話が変わってきます。

WTIつなぎ足チャート(2009年1月~2009年4月のみ)

この時期は大きな順鞘(コンタンゴ)でしたので原油CFDを売り建てしていた人は、ロールオーバーごとにけっこうな額の価格調整額を受け取れた計算になります。順鞘時のロールオーバーでは「期近限月を安く買い戻し、一つ先の限月を高く売り直す」というオペレーションが行われます(原油CFDを買ってる人は全く逆となります)。したがって大きな順鞘が続いている時期に原油CFDを売っていると、毎月毎月、価格調整額を受け取れるので、値上がり幅が「価格調整額の受け取り総額」より小さければ利益を得ることができるわけです。下図はロールオーバーによって対応する先物の限月が変わっていく様子を別の色で表示したものです。安く売って高く買いなおしてる様子が分かりますよね。千切れている差額分が価格調整額に相当します。想像を遥かに超えるありえないくらいの段差があることがわかります。WTI原油先物は、現物決済の受け渡し場所であるオクラホマ州クッシングの在庫状況によっては投売り状態に近くなることがあります。このためWTI原油をトレードする人はクッシング在庫は要チェックです。

原油CFDのロールオーバーの様子(2009年1月~2009年4月)

次に示した図は、ロールオーバー時の価格調整額を補正したときのチャートです。期近原油先物を繋いだチャートは「つなぎ足」などと呼ばれますが、ロールオーバー時の差を修正したチャートは「修正つなぎ足」と呼ばれます。実質的な損益が分かるチャートは修正つなぎ足のほうです(上図の色違いのチャートを繋げるときに、価格調整額分ずらして作成したチャート)。世の中一般のチャートは、単なる「つなぎ足」で表示されていることが多いです。このため先物相場の仕組みをよく知らない人は、つなぎ足だけのチャートを見て「原油が上がれば儲かる」と単純に考えて原油CFDとか原油ETFをナンピン買いしてしまうわけですが、実際には毎月のロールオーバーでコストがかかるため「上がってるように見えてロールオーバーで損をするのでCFDやETFはサッパリ上がらない」ことがよく起こります。これを逆手にとるのが鞘滑り取りという技法です。

WTI原油つなぎ足と修正つなぎ足の比較(2009年1月~2009年4月)

この期間(2009年1月~4月末)において、ロールオーバー時の順鞘幅の合計は15.75ドルでした(第5営業日の終値でロールオーバーしたとして計算。ロール日を多少ずらしてもたいして変わりません)。つまり原油CFDを売っていた人は価格調整額として15.75ドルを受け取っていました。この期間の期近限月の値上がり幅は4.78ドルですから、原油CFDを売っていた人は値上がりによって4.78ドル損をして、価格調整額によって15.75ドル儲かっていたということになります。

ところで、鞘滑り取りという手法は、本来はこのような数ヶ月以下の短期トレードではありません。長期間、ひたすら売りっぱなしにして、順鞘の乗り換え分を地味に積み重ねていく方法です。下図は2008年1月から2016年12月までの長期チャートです。赤線が「期近つなぎ足」、すなわち、皆さんがよく見るチャートです。緑線は「修正つなぎ足」、すなわちロールオーバー時の価格調整分を補正したチャートとなります。
WTI原油つなぎ足と修正つなぎ足の比較(2008年1月~2016年12月)

赤線を見ると、2008年1月に約100ドルで売って2016年末まで粘った場合(途中50ドル逆行する局面があるので耐えるのは無理かもしれないが)、約45ドルの利益に見えますよね。ところが原油CFDを売って放置した人は(鞘滑り取りをしていた人は)、順鞘時のロールオーバー時には価格調整額が受け取れますからそれが積もり積もって、マイナス15ドルまで価格が下がったことと同じ利益を享受できます(緑線を見て下さい)。つまり利幅は115ドルということです。これが鞘滑り取りの威力であり、また、「買ってる人が知らず知らずに大損する」落とし穴でもあります。※逆にCFDを買ってずーっと放置した人は115ドル幅の損となります。

筆者の場合は短期トレード用の口座と、売りっぱなし口座に分けておき、鞘滑り取り用の口座は、低レバでひたすら粘るという感じで運用してます。

原油CFDを扱うCFD会社の比較。銘柄、手数料、スプレッドなどなど。
先物つなぎ足を見ると騙される
原油CFDの売買差金は損失でも、価格調整額を合計したら利益になることもある
原油CFDを長期で買い持ちすると損をする。
ドバイ原油先物でコンタンゴ拡大を狙うサヤトリ
WTI原油先物のフォワードカーブと順鞘による負のロールイールドによる原油ETFの減価

東京商品取引所(TOCOM)でのガソリンとドバイ原油のサヤ取り

東京商品取引所(TOCOM)ではドバイ原油先物のほか、ガソリン先物や灯油先物も上場されております。ガソリン先物は「東京バージガソリン」という名称になっています。バージというのは「内航船」のことで当業者(石油元売会社や、商社など)が現物受け渡し決済を行うときに船に石油を積載した状態で受け渡しするルールになっているため、「東京バージガソリン」という名称になっています。一般投資家の立場では単に「ガソリン先物」と思えば良いです。取引量がかなり少ない灯油先物は、初心者はやめたほうが良いでしょう。

ガソリン価格と原油価格にはどんな関係があると思いますか。ガソリンは原油から精製されるので、リンゴジュースとリンゴの関係に似ています。製造原価という面から、超大雑把に言って以下の関係式が成り立ちます。

リンゴジュースの原価=原料のリンゴの価格+加工費
ガソリンの原価=原料の原油の価格+精製費

ガソリンの精製費は絶対にマイナスではないはずだし、ほぼ一定のはずです。とすると「ガソリン価格と原油価格の差」は、概ね、一定範囲になるであろうと予想されます。こうした背景から「ガソリン先物買い&原油先物売り」というようなサヤトリが機能するわけです。ガソリン等の石油製品と原油との価格差を「クラックスプレッド(Crack Spread)」と言います。

実際のところ、夏場はガソリンの需要が増える(冬場は減る)だとか、春や秋に製油所の定期補修があって稼働率が下がるだとか、輸入ガソリンもあるだとか、様々な要因でガソリンと原油の価格差は変動しますが、毎年似たような時期に同じような要素が作用する年が多いため、例えば「毎年11月初旬にはガソリン先物を買って原油先物を売ると利益になりやすい」というような攻略が可能となります。下図はガソリン先物5月と原油先物4月のクラックスプレッドです。執筆時は2016年11月ですが、先物ですから、ガソリン先物の2017年5月限と原油先物2017年4月限のクラックスプレッドですのでご注意下さい。冬場はクラックスプレッドの拡大狙い(ガソリン買い原油売り)で儲かりそうに見えますね。

TOCOM ガソリン5月限とドバイ原油4月限のサヤ(クラックスプレッド)

ガソリンのクラックスプレッドのような異なる先物銘柄を使ったサヤトリの注文は、ガソリン先物と原油先物の各々に別々に注文を出して片方を買って他方を売れば良いわけです。下図は2016年11月11日のガソリン先物と原油先物の同時刻の価格表です。今、この瞬間ではガソリンを43210円で買うことができ、原油を29750円で売ることができることが分かりますよね。この価格差は13460円となります。

ガソリンと原油の各々の価格表示(例)

ここで見逃せない情報があります。一部の商品先物会社では商品間SCOという超便利な注文を用意しておりまして、クラックスプレッドの値鞘で直接指値することが可能です。しかもこの注文は取引所が用意している注文方法であるため片方しか約定しない、ということがありません(売りと買いの両方が成立するか、または両方とも成立しないか、のどっちか)。商品間SCOを使える取引会社は少数派ですが、Evolution Japan株式会社や日産証券の取引ツールでは、この注文方法を使うことができます(商品間SCOは取引所が用意している注文方法にもかかわらず商品先物取引会社ではこの注文方法を使えないところが多数あります)。下図はガソリンと原油の商品間SCOの価格表です。こちらは13440円の売り注文がありますので、ガソリン買い原油売りを13440円で成立させることができることがわかります。

ガソリンのクラックスプレッド(商品間SCO)の価格表示(例)

ここではEvolution Japanで注文する例を書いてみます。まず取引ツールにログインします。左欄の注文に「新規」「新規複数」などいろいろありますが、上から7番目に「コンビネーション」があるのでそれをクリックします。するとコンビネーション注文を入力する欄が現れますので、「SCO(商品間)」を選択します。

ガソリンのクラックスプレッドの注文(例)

今回、新しい注文ですので一番左の欄はA,Bともに「新規」を選びます(もし決済するときはいちいち「仕切」を指定しなければなりません)。A,Bの意味は銘柄が2つ(ガソリンと原油)なので便宜的に記載されているだけで特に意味はありません。また注文条件は「指値 FAS」を選びます。SCO(商品間)の気配値は買い気配と売り気配がけっこう開いていることがあるので指値注文が基本だと考えて下さい。

FAS FAK FOK
一部約定後に未執行数量が残るとき、その残数量を有効とする 一部約定後に未執行数量が残るとき、その残数量を失効させる 全数量が直ちに約定しない場合は、その全数量を失効させる

いわゆる普通の指値注文は「指値 FAS」である、と考えて差し支えありません。寄り板合わせに注文を出すときなどにFAKを使う場合がありますが、使わなくてもあまり困りません。私は滅多に使いません。

次に商品を選択しますが、ガソリンと原油を選ぶ場合は上側(Aのほう)をガソリン、下側(Bのほう)を原油とします。限月は最も取引量の多い限月(もっとも取引期限が長い限月)を選ぶのが無難です。取引量の少ない限月は売り気配と買い気配の差が大きいためなかなか約定しないためです。原油の限月は自動的に選択されますが、ガソリンの2017年5月限に対応する原油は月が一つ前の2017年4月限となります(分かり辛いですが、そういうものなので仕方ありません)。

ガソリンのクラックスプレッド(ガソリン価格から原油価格を引いたもの)が、拡大すると思うのであれば、上側(Aのほう)を「買」、下側(Bのほう)を「売」とします。枚数は「ガソリンを1枚買い&原油を1枚売り」の注文をするなら「1枚」です(買いと売りで合計2枚だけど「1枚ずつ」だから「1枚」というわけです)。

有効期限は1日限りです。注文の例では16/11/09となっていますが、これは画面をキャプチャーした日が2016年11月9日だからです。ちなみに2016年11月8日の夕方四時半から始まる夕場は「2016年11月9日」扱いです。「2016年11月9日」扱いとなるのは、11/8の16時30分~11/9の15時15分までです(15時15分が取引終了時刻)。

夕場が始まるのは16時30分で、翌日の5時30分に終了します。その後8時45分に開始して15時15分に終了です(但しSCO注文は15時10分迄)。1セッションのみにチェックしない場合は夕場に出した注文を翌日の昼間(8時45分~15時15分)にも引き継がれるが、チェックしないと午前5時30分で失効します。サラリーマン等で昼間に取引する余裕がない人でも昼間に有効な指値を出し続けられるということですね。

必要証拠金は11/9の時点では「ガソリン1枚買い&原油1枚売り」の注文で28万円でした(ときどき変更されますのでギリギリしか資金を入れないと追証がかかるおそれがあるので注意)。これが高いか安いか?ですが、投機として考えれば資金効率が悪いと思うかもしれませんが、保守的な投資であると考えれば妥当な線だと思います。例えば「2週間かけて500円幅を狙う取引(倍率50倍ですので、手数料抜きの利益は25000円)」だとすると、28万円を2週間運用して2.5万の利益を狙うわけですので、十分な利益率であると言えます。チャンスは年に何度もあるので繰り返しやることで年間通して見ると馬鹿にならない金額を獲得でき(る人もい)ます。「50万円入金しておいて、1回あたり2万円目標で、月1回仕掛け、1年で資金を2割増やす」くらいのペースの投資という感じで考えるのが良いと思います。先物取引ですので目一杯仕掛けるとリスクは相当高くなります。資金一杯仕掛けるのはやめましょう。

クラックスプレッドの勝率を上げたい人は過去の季節傾向の分析をするだけでなく、毎週の石油連盟発表の週間在庫統計を見ると良いと思います。冬場の灯油のクラックスプレッドをやる人は、在庫統計のほか北海道及び東北地方の気温推移も監視すると良いと思います。

※EVOLUTION JAPAN株式会社は商品先物の取次業務をやめてしまいましたが、日産証券 商品先物取引でSCO注文は取り扱いがあります。

TOCOM(東京商品取引所)のドバイ原油のサヤ取り
ドバイ原油先物でコンタンゴ拡大を狙うサヤトリ

<注意>
2017年5月8日から新たに石油スワップ取引が上場されました。これにより従来のガソリン先物は「バージガソリン」、新しく上場されたガソリンスワップは「バージガソリンスワップ」という名称で呼ばれるようになりました。注文を出すときは間違えないように注意して下さい。まったく出来高がないほうに注文を出してしまうと危険です。

ドバイ原油先物でコンタンゴ拡大を狙うサヤトリ

WTI原油先物は10~12月頃に期近先物が期先先物に対して相対的に安くなりやすいです。その理由についてはここで詳しく考察しました。

個人投資家の立場ではWTI原油先物でコンタンゴ拡大狙いのポジションを構築するのは困難です。原油CFDは限月が1つしかありませんので、秋にWTI原油先物のコンタンゴが拡大しやすい現象を直接収益化することができません。そこで注目したいのが、東京商品取引所で取引されているドバイ原油です。ドバイ原油はWTI原油とは異なる原油ですが、多少動きが渋くなるものの、似たような傾向が見られるからです。

下図は2012年~2016年における東京商品取引所のドバイ原油先物の「翌年3月と1月の価格差」のチャートです。地味ながらも10~11月半ば頃にかけてコンタンゴが拡大(あるいはバックワーディションが縮小)する傾向が見られます。これを地味に収益化する方法がサヤトリという取引手法です。鞘(サヤ)は英語でスプレッド(Spread)と言いますので、決済期限の異なる先物(Futures)の限月間のサヤトリ(鞘取り)は英語ではカレンダースプレッド(Calendar Spread)と呼びます。
ドバイ原油先物のサヤ(翌年3月-1月) 2012-2016

東京商品取引所ではSCO注文(スタンダード コンビネーション オーダー)という注文が用意されており「2つの原油先物の価格差で指値して売買」することが可能です。下図はEVOLUTION JAPAN株式会社の取引ツールで見た、2017年2月限のドバイ原油先物の価格と、2017年4月限のドバイ原油先物の価格を示しています。上のチャートの例では3月と1月だったのに、ここでは4月と2月になってしまいましたが気にせず読んで下さい。
EVOLUTION JAPAN証券のドバイ原油先物の価格表の一例

17/02というのは2017年2月限という意味です。左側の欄はとりあえず無視して右側の板画面を見て下さい。板画面というのは売りたい人の指値とその数量、買いたい人の指値とその数量を見やすく並べたものです。17/02の板画面を見て分かることは、28910円で3枚売りたい人がいる、28920円で1枚売りたい人がいる、28930円で5枚売りたい人がいる、というようなことです。逆に買いたい人は、28860円で1枚買いたい人がいる、28850円で2枚買いたい人がいる、というようなことがわかります。1枚というのは最小取引単位で50KL(キロリットル)に相当します。表示価格は1KLあたりの価格ですので、もし1枚買って価格が10円動くと損益は500円動きます。100円動けば5000円です。

いま、コンタンゴ拡大狙いの建て玉をしたい場合、つまり、期限が短い先物を売って期限が長い先物を買いたい場合、2017年2月限のドバイ原油先物は28860円で売ることができ、2017年4月限のドバイ原油先物は29610円で買うことができます。これは買いたい人がいる値段しか売れないし、売りたい人がいる値段でしか買えないからです。このときの値鞘は29610-28860=750円となります。
一方、逆に期限が短い先物を買って期限が長い先物を売りたい場合は、2017年2月限のドバイ原油先物は28910円で買うことができ、2017年4月限のドバイ原油先物は29590円で売ることができます。このときの値鞘は29590-28910=680円となります。

2つの限月の原油先物で各々売買することで、コンタンゴ拡大狙いを行うこともできますが、各々の先物は各々価格が動いており、しかも有利な値鞘で仕込むのは結構むずかしいです。このような場合、SCO注文を使うことで自分の指値した値鞘で注文を成立させることができます。

下図は2017年2月限と2017年4月限と値鞘を示す板画面(鞘気配)です(一番上の欄で鞘気配を選び、限月を17/02と17/04の2つを選べばOK)。各々の先物の板と、値鞘の板(鞘気配)は、別の存在ですので、各々の先物の板から計算した値鞘と、値鞘の板画面(鞘気配)は必ずしも一致しません(裁定取引を通して矛盾ないように価格形成されています)。ここで混乱しやすいのは、コンタンゴ(先物のほうが価格が高い状態)の場合、価格がマイナス表示されるということです。私個人のExcelチャートではコンタンゴはプラスで表示してるんですが、一般に取引所のシステムでは、コンタンゴはマイナス表示が一般的です(NYMEXでもCMEでもTOCOMでも)。期限の短い先物価格から期限が長い先物価格を引いた価格を示すようになっているからです。

EVOLUTION JAPAN証券のドバイ原油先物のサヤ気配値の一例
値鞘を示す板画面(鞘気配)を見ると、売り気配値を見るとマイナス660円で2枚売り、買い気配値はマイナス710円で1枚買い、となっています。これがどういう意味かというと、「660円の値鞘で2017年2月限売り&2017年4月限買いを各々2枚ずつしたい人がいる」、「710円の値鞘で2017年2月限買い&2017年4月限売りを各々1枚ずつしたい人がいる」ということを意味します。私はコンタンゴ拡大狙いをしたいので、この板画面で即座に注文を成立させようとするならマイナス710円で売り注文を出せば、「710円の値鞘で2017年2月限売り&2017年4月限売りを各々1枚ずつ同時に成立」させることができます。

SCO注文はコンビネーション注文を使用します。
EVOLUTION JAPAN証券でのSCO注文の出し方の一例
「SCO」と「SCO(商品間)」がありますが「SCO」を選択します。一番左の欄は両方とも新規を選びます。東京商品取引所では新しく注文を出すことを「新規」注文と言い、決済する注文を出すことを「仕切」注文と言います。いちいち指示しなければならないので面倒ですが、年末に損してるほうを先に決済して今年の税金を減らす、みたいなことができるので、それはそれで便利です。次に執行条件は「指値 FaS」を選びます。商品は東京原油です。限月は期限が短い期近を上側の欄で選択し、期限が長い期先は下側の欄で選択します。枚数はここでは1枚です(2月と4月を1枚ずつ、という意味です)。コンタンゴ拡大狙いをする場合は期限が短い先物を売って期限が長い先物を買うわけですので、上側の欄を売り、下側の欄を買いにします。現在値段は参考表示されているだけです。というのは値鞘で指値するわけですので、価格の絶対値はあまり関係ないです。指定値段の欄が間違いやすいですが、順鞘時はマイナスを選びましょう。私は半年に1回くらいマイナスを付け忘れたり、限月の選択をミスって損していますが、皆さんはそんなことがないように十分気をつけましょう。特に符号を間違えると大損な価格で約定してしまう可能性があるので何度も確認しましょうね。

ドバイ原油のサヤトリは非常に地味ですが、原油価格の上げ下げを当てるよりはサヤの動きのほうが読みやすく、またゆっくり動くのでじっくり分割して大量に仕掛けることでけっこうな利益を得られることもあります。投機ではなく投資として原油市場を利用されたい方にとっては研究に値する手法だと思います。

SCO注文が使える商品先物会社は少数派で、EVOLUTION JAPANと、日産証券 商品先物取引などがあります。この2社の取引システムは、実質的にほぼ同じ(見た目は完全に同じにしか見えない)、使い勝手に差はありません。※EVOLUTION JAPANのほうは情報提供が充実しているのが強みだったのですが商品先物取引の取り扱いをやめてしまいました。

東京商品取引所(TOCOM)でのガソリンとドバイ原油のサヤ取り
カナダドルとノルウェークローネでFXサヤトリやってみました

TOCOM(東京商品取引所)のドバイ原油のサヤ取り

下表は2016年1月6日のTOCOM(東京商品取引所、通称「トコム」)のドバイ原油先物の価格表です。

<TOCOM ドバイ原油先物価格 2016年1月6日>

限月 始値 高値 安値 終値 出来高
2016年1月 24250 24250 23390 23330 288
2016年2月 24900 24940 23930 23970 357
2016年3月 25760 25760 24740 24770 488
2016年4月 26420 26420 25490 25500 1523
2016年5月 27150 27150 26210 26220 12435
2016年6月 27820 27840 26910 26930 11689

TOCOMの原油先物の限月は6つあり、2016年1月6日現在、一番期限が短いものは2016年1月限(にせんじゅうろくねんいちがつきり)、2番目に長いものは2016年2月限、最も期限の長いものは2016年6月限でした。2016年1月限が取引期限を迎えると新たに2016年7月限が追加される仕組みになっています。

どれもドバイ原油先物ですが、売買する上ではまったく別の銘柄として取り扱われます。例えば2016年4月限の原油先物を1枚買っていた人が、2016年6月限の原油先物を1枚売ったとしても、決済したことになりません。以下のような建玉に状態になるだけです。

「2016年4月限 1枚買い建て」
「2016年6月限 1枚売り建て」

一見、単なる両建てに見えますが、限月が異なる両建てなので損益は僅かながら変動します。異なる限月の先物は、ほとんど同じ動きをするのですが僅かながら値動きに違いがあるためです。上手にやると利益を出すことができ、これを専門にやっている人も存在します。このように同じ種類の先物で、限月だけが異なるものの一つを買い、もう一つを売る売買を「異限月鞘取り(いげんげつさやとり)」と呼びます。しかし筆者がトレード仲間と会話するときは単に「原油先物のサヤ取り」などと言っています。

下図は2016年1月~2月のTOCOMのドバイ原油先物チャートです。6つある限月をすべて重ね描きしているのでごちゃごちゃして分かりづらいですが、2016年1月限が満期を迎えて消滅し(上場廃止となり)、2月初日から2016年7月限が登場している様子が分かると思います。なお、2016年1月限だけ「値動きが悪い」ように見えますが最終月の最終決済価格はドバイ原油の「月間平均値」になるように決められているためです。個人投資家はわざわざ期限が短い先物を売買せずに期限が長い先物を売買すれば良いので気にする必要はありません。

2016年1月~2月におけるTOCOMのドバイ原油先物チャート(全限月の重ね描き)

上のチャートから2016年6月限と2016年4月限だけを選び、更に2016年6月限の価格から2016年4月限の価格を引いたもの(ドバイ原油のサヤ)を重ね描きした結果を下図に示します。オレンジ色の棒グラフが原油先物のサヤで左側の軸に対応し、線グラフは原油先物価格で右側の軸に対応します。

2016年1月~2月におけるドバイ原油先物のサヤチャート(6月限と4月限の先物価格の差)

ドバイ原油先物の6月限と4月限の値動きは、ほとんど同じような動きをしますが、両者の差(ドバイ原油6月限の価格から、4月限の価格を引いた「サヤ」)は、「攻略しやすい動き」をします。1/6頃から1/20頃まで、原油先物は大きく下落していますが途中でリバウンドしている日もありますが、この期間においてサヤは単調に縮小しています。動き始めた方向に単調に動くのを狙うのは心理的負担が小さいことから、積極的にこの動きを狙うという方法が考えられます。心理的負担の大きさは資金投入量が大きくなるとボディーブローのように効いてきます。

あと講釈になってしまいますが、この時期に原油のサヤ取りを仕掛けるとしたら、1/6頃に「ドバイ原油 4月限1枚買い建て&6月限1枚売り建て」を仕込み、1/20頃に「ドバイ原油 4月限1枚売り決済&6月限1枚買い決済」をすれば良かったな、ということがわかります。

仕込日 限月 売買 価格 決済日 売買 価格
1/6 4月限 買建 25500 1/20 売(決済) 18650
1/6 6月限 売建 26930 1/20 買(決済) 19710

4月限は25500円で買い建てたものを18650円で売り決済したので6850円の損失ですが、6月限は26930円で売り建てたものを19710円で買い決済したので7220円の利益です。合計すると370円の利益となります(実際はこれの50倍です。後述)。

慣れてくると「サヤ」だけを見たほうが分かりやすくなります。1/6のサヤは26930-25500=1430円でした。1/20のサヤは19710-18650=1060円でした。1430円のサヤが縮むほうに賭け、1060円に縮んだので、利益は1430-1060=370円ということになります。当然ながらさきほどの計算結果と一致します。ちょっと考えてみると分かりますが、損益は先物価格が上がろうが下がろうがまったく関係なくて「サヤが広がるか、縮むか」ということだけで決まります。先物価格が上がるか下がるかに賭ける売買ではなく、サヤが広がるか縮むかに賭ける売買ということです。

この原油価格は1キロリットルあたりの価格なのですが、原油先物1枚は50キロリットルに相当します。つまり実際の損益は、これの50倍となります。370円×50=18500円です。この売買に要する資金は、取引会社によって異なりますが、ざっくり言って20~30万円程度必要です。利益率は低いのですが、慣れてくると勝率がかなり高くなるので安定運用するという点ではなかなか優れた売買だと筆者は考えています。もちろん負けることもあり、小さな値幅しか取れず手数料を払うと利益が全然残らないようなこともあります。理屈っぽい人向けかもしれません。

筆者の場合「毎年のサヤの季節変動の傾向」「過去のサヤの変動範囲」「サヤ変動のリズム」「海外市場との比較」などを総合的に考えて広がるか縮むかを予想して仕掛けてます。

東京商品取引所(TOCOM)でのガソリンとドバイ原油のサヤ取り
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カナダドルとノルウェークローネでサヤ取りができるか?

カナダドルとノルウェークローネでFXサヤトリやってみました

カナダドル(CADJPY)とノルウェークローネ(NOKJPY)は、どちらも原油価格と相関が強いという特徴があります。通貨の強弱は相対的なものであって絶対的理論値など存在しませんが、ファンダメンタルズ的に根拠があるかどうか筆者が考えた範囲においては、カナダドルは原油埋蔵量の点で原油価格との相関が強く、ノルウェークローネは原油輸出量の点で原油価格との相関が強いと考えております。これを根拠に筆者はカナダドルはノルウェークローネの2通貨を使用して「FXサヤトリ」が可能ではないかと考えており、今回、実際に自分のお金を使って実験してみました。ちなみに筆者は商品先物でのサヤトリ歴は15年以上であり、何かを買ってヘッジで何かを売るという売買は昔から得意です。

下図は2016年2月以降の、「カナダドル(CADJPY)からノルウェークローネ(NOKJPY)の6倍を引いたサヤ」と、「カナダドル(CADJPY)」「ノルウェークローネ(NOKJPY)の6倍」を重ね描きしたチャートです。筆者はこのサヤが当面の間、5~7円のレンジ相場であると予想し、サヤが約6円を超えて拡大したときに縮小狙いを仕掛けました。

2016年2月~7月のカナダドルとノルウェークローネのサヤチャート

売買内容は以下の通りです。

通貨ペア 売買 通貨の量 価格
CADJPY 売 10000 77.602
NOKJPY 買 60000 11.920

仕込んだサヤは77.602-11.920×6=6.082でした。6.4くらいで仕込もうとしたのですが、まずカナダドルを売ってから、クローネを買おうとしたら、どんどん価格が動いてしまったので当初予定より不利なサヤで仕込みとなってしまいました。同時に成行注文で仕込めば良かったんですが仕方ありません。必要証拠金は10万円くらいかかるかと思っていましたが僅か63000円で済みました。

ところで、ノルウェークローネ(NOKJPY)を扱っているFX会社はあまりなく、しかも1万通貨単位で売買できるところは非常に少なく(クローネは10万通貨単位のところが多い)、ようやく見つけたのはヒロセ通商でした。ヒロセ通商はFX会社の中ではけっこう歴史が長く、外為法が改正されて日本でFX会社がたくさん設立された黎明期から存在する会社です。なぜ「1万通貨単位」にこだわるかというと「カナダドル(CADJPY)からノルウェークローネ(NOKJPY)の6倍を引いたサヤ」を売買するためには「カナダドルを1万通貨、ノルウェークローネを6万通貨」としたいからです。

もし、「ノルウェークローネは10万通貨単位」だとすると、「カナダドルを5万通貨、ノルウェークローネは30万通貨」としなければならず、細かい売買ができないという問題があります。売買規模が大きい人は10万通貨単位のFX会社でも差し支えないと思いますが、まずは練習から開始したい人は1万通貨単位でノルウェークローネを売買できるFX会社が良いと思います。どんな売買でも「練習」が必要です。「つもり売買」ではダメで、実際にお金を賭けて練習することが必要です。というのは、実際に負けている状態のときの心理状態はリアルマネーを賭けているときでないと理解できないからです。ちょっと脱線しましたね。クローネは10万通貨単位でもかまわないひとは、例えば外為オンラインのくりっく365などで取り扱いがあります。「くりっく365」はFXの価格提示を複数のマーケットメーカーが行っていることからbid/askが狭いという特徴があります。

仕掛けた翌日くらいに含み益が1000円くらいになったのですが、千円拾うために仕掛けたわけじゃないので当然放置です。しかし1週間くらい経過したら(7/15頃)、逆に動いて含み損がマイナス8000円くらいになってしまいました。最大1回だけナンピンする計画でしたので、「もう少し損が拡大するまで待つか」と思って待っていたのですが、反転してしまったのでナンピンするチャンスを逸しました。

ナンピンというのは、負けているときに追加で仕込んで平均値を有利にすることです。最初6.082円のサヤで縮小狙いを行ったので、逆行して7円超えまで拡大したところで縮小狙いを追加するような売買がナンピンです。平均値が約6.5円に改善しますからね。ただし建て玉の量が増えるのでリスクも増えるので注意が必要です。

サヤの動きはマイルドなので、筆者は毎日細かく価格チェックしません。8月に入り、そろそろ儲かったかと思ってヒロセ通商のLION FXというツールにログインすると、おっと久しぶりに含み益がプラスになってました。しかし、よーく見ると、カナダドルもクローネもどっちもスワップが支払いになってるではありませんか!5000~10000円の利益になるだろうと思っていたんですが、粘るとスワップが馬鹿にならんなあと思い、一旦ここで利益確定することにしました。決済した内容は以下の通りです。

通貨ペア 売買 通貨の量 価格 売買差金 スワップ
CADJPY 買い決済 10000 78.617 -10150 -702
NOKJPY 売り決済 60000 12.151 +13860 -702

つまり、売買差金は+13860-10150=3710円、スワップが-702-702=-1404円、合計3710-1404=+2306円となりました。証拠金63000円に対して2306円なので、少々不満が残るものの初戦としては、こんなもんでしょう。途中でナンピンしていたとすれば、証拠金約12万に対して利益は1万円程度になっていたはずなので少々悔しいです。動きがマイルドなサヤトリとしては、なかなか悪くないと思います。ちなみに商品先物のサヤトリでは「資金10万円使って1~2万円の利益を取りに行く」のは、ありがちな売買です(そもそも10万円使って5万円取りに行くような売買は長続きしません)。

実際の売買結果の画面を以下に示します(横長で見難い)。
ヒロセ通商で実際にカナダドルとノルウェークローネのサヤトリを行った結果の画面キャプチャー

今回のFXサヤトリの反省点は以下の通りです。
(a)ノルウェークローネ(NOKJPY)のbid/askの開きがけっこう痛い
(b)カナダドルとクローネが両方ともマイナススワップなのは誤算だった

(a)について補足します。bid/askの開きは例えば12.153/12.183のような感じで3銭程度なのですが、カナダドルとのサヤを考えるために6倍して考えると、実質72.918/73.098ということになります。このため有利なサヤで仕掛けるのがけっこう難しかったです。(b)について補足します。片方が買いで片方が売りなので、どっちかはスワップがプラスだろうなと思っていたのですが、両方ともマイナスというのは誤算でした。マイナススワップが積み重なる速さよりサヤの変動のほうが速いので気にせず仕込めば良いのですが、サヤ変動が想定よりも長期化した場合は、苦戦する材料になりそうです。

ドバイ原油先物でコンタンゴ拡大を狙うサヤトリ
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カナダドルとノルウェークローネでサヤ取りができるか?

カナダドルや、ノルウェークローネは原油価格と強い相関関係があることがわかっています。ということは、カナダドルとノルウェークローネの間にも強い相関関係があるわけです。2008年1月から2016年6月の為替で相関関係を調べると下図のようになりました。グラフ中にある一次関数は回帰直線です。R2値は相関の強さを示しており、「1」が最も相関が強いことを示します。R2値は0.743もあるので、かなり相関が強いことを示しています。

2008年1月から2016年6月におけるカナダドルとノルウェークローネの相関関係(対円)

相関の強い銘柄同士は、両者が一時的に乖離したときに片方を買い、他方を売ることで、サヤ取りができます。サヤ取りとは「値動きに関連のある2銘柄の片方を買い他方を売る戦略」です。これは「ある期間における統計結果、傾向から判断すると今回も・・・となる可能性が高いから、それに賭ける」という戦略です。ロングショート戦略(Long Short Strategy)と呼ぶ人もいますし、スプレッド取引(Spread Trading)と呼ぶ人もいます。

対円で見るとカナダドルとノルウェークローネの値位置が大きく異なるので、売買数量は調整する必要があります。2016年1月~5月のカナダドルの平均値は約84.30円であり、ノルウェークローネは約13.33円でした。だいたい6倍の差となりますので、1万カナダドルと6万ノルウェークローネの値鞘の変化を調べてみましょう。

下図は2015年1月2日から2016年6月20日までの、1万カナダドルの円換算値と、6万ノルウェークローネの円換算値の差を棒グラフにしたものです。この期間において、両者の値鞘は概ね0円から8円のレンジ内に収まっていることが分かります。この期間における統計データから判断すると、値鞘が8円を超えて拡大するよりは5円以下に縮む可能性のほうが高いと筆者は判断しました。※2014年以前のデータで比較すると違った結論になります。普遍的な戦略ではありません。

もし、筆者がここでトレードを行うと仮定すれば、カナダドル(CADJPY)を1万通貨売り、ノルウェークローネ(NOKJPY)を6万通貨買います(但し値鞘が8円を超えたら即刻損切り)。通貨の上下そのもの方向性が当たらなくても、両者の値鞘が縮小すれば利益を得ることができます。このほかスワップの授受も損益に影響しますが、それほど長期間のトレードにならないので、無視できる程度であると思われます。

6倍したノルウェークローネ(対円)とカナダドル(対円)のサヤ取りチャート

統計的な傾向をもっと細かく解析した上で仕掛けるサヤ取りは、統計的裁定取引(Statistical Arbitrage、スタティスティカルアービトラージ、略してスタットアーブ)といいます。本例は、少ない統計データから導きだした大雑把なトレードアイデアですから、これをスタットアーブと呼ぶと金融関係者はお腹を抱えて笑うかもしれません。

原油価格が100ドルになるとカナダドルやノルウェークローネはどれくらい上がる?
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