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サヤ取り 取引会社 天然ガス先物とCFD

海外先物を使って例年お決まりの天然ガスのサヤ滑りを収益化する

2019/02/03

※本記事は海外先物の話です。天然ガスCFD関連は以下の記事のほうが参考になると思います
ファンダメンタルズ的な季節傾向を利用した1-2月の天然ガスのトレードプラン
天然ガスブル3倍ETNの特徴と取引上の注意点、攻略のヒント。

CFDを使ったトレードでは価格の上下を当てて利益を取りに行きますが、海外の先物市場(NYMEX)で直接トレードすることを厭わなければ、多彩な収益機会を利用することができます。本稿では一例として私が毎年冬場(11~3月頃)に行っている天然ガスのスプレッドトレードをご紹介しましょう。

天然ガスは、そのままでは空気中に拡散して飛んでいってしまうため、タンクや地下貯蔵施設に保管しなければなりません。タンクの増設はコストがかかるため米国では主に、枯渇したガス田を利用して地下にガスを押し込んで保管しています。

原油と天然ガスを比較すると、液体である原油のほうが保管は容易だと考えられます。つまり気体の天然ガスは保管コストが高いという問題があります。

ここで先物の理論価格を思い起こしてみますと「先物価格=現物価格+保管コスト」となりますので、天然ガスは保管コストが大きいゆえに、本質的にコンタンゴ(順鞘)になりやすいコモディティであると考えられます。実際のところは単に保管コストだけでなく冬場の暖房需要に使われるだとか、夏場の発電需要に使われるといった季節要因があるため、限月ごとに特徴的な動きをすることになります。

限月ごとの特徴としては冬の限月は高く、春の限月は安いという特徴があります。暖冬の場合は3月限あたりの端境期的な限月も売られますが、厳冬の場合は4月限でも思わぬ高値になることがあります。このため天然ガスが高値をつけたときに、安全を見て5月限あたりを売り(1~3月限が高いと吊られて上がるため)、夏限月の8月あたりを買う、という方法で、保守的に利益を狙うことができます。負けるときもありますがミドルリスクミドルリターンの戦略であるといえます。

下図はNYMEXの天然ガス先物の8月限と5月限のスプレッド(サヤ、価格差)です。2018年の緑色の線に注目して下さい(執筆は2017年12月ですが、来年の先物だから2018年になってます)。例年は12月頃から3月頃にかけて、8月限と5月限のスプレッドが拡大していることがわかります。

NYMEX天然ガスの8月と5月のスプレッド

海外市場で直接トレードできる環境がある人は、こうした傾向を収益化することができるというわけです。天然ガス先物の倍率は10000倍なので左軸で0.0400から0.0600まで広がった場合は、200ドルの利益になるということを意味します。NYMEXでスプレッド注文を出す場合の証拠金はSPANマージンなので(リスク量に見合った証拠金額に減額されるので)、このスプレッド注文1組あたりの必要資金は高々1000ドル程度です。3000ドルほど預けておいて、スプレッドを3組仕掛けて2ヶ月放置して1000ドル取りに行く、というようなミドルリスク・ミドルリターンな取引となります。

売買タイミングは、天然ガス在庫量の例年との比較や、米国の気温予想などを参考にします。下図はEIA発表の天然ガス在庫統計です。

EIA発表 天然ガス週間在庫統計(2013~2017年比較)

NYMEXで天然ガスのスプレッドの拡大狙いの注文を出す場合は「スプレッドの売り注文」となります。期限の短い先物を売って期限が長い先物を買うスプレッド注文は「売り」、期限の短い先物を買って期限が長い先物を売る注文は「買い」です。要するに期限が短い先物を中心に売りと買いが決まります(これは東京市場でも同様です)。

残念なことに、この種のトレードを行うためには海外のブローカーに取引口座を開かなければなりません。楽天証券でも海外先物取引が可能になっていますが、取引所の提供しているスプレッド注文に対応していない、という問題があります。NYMEXではスプレッド注文を提供しており、スプレッドの値を指定して指値することができ、売りまたは買いの片方しか約定しない、ということはありませんし(必ずスプレッドとして約定する)、注文時の拘束資金もスプレッドに応じた低額の証拠金です。

英語が得意な人はfutures discount brokerなどのキーワードでググればブローカーを見つけることができるでしょう。ただし申し込み書類は難解な法律用語が並び(例えば外国税務コンプライアンス法に関する英文書類にサインが必要だったりします)、またW8-BENのような日米租税関係の書類の書き方も迷う人が大半でしょうから日本人経営のブローカーに口座を開くというのもアリでしょう。例えばシカゴダイレクトという会社は日本人経営のIB(introducing broker)であり書類の書き方は教えてくれますし、困ったら電話やメールで日本語で相談できます。私は十数年前から細々と愛用しています。ここは直接注文を受けるわけではなくて、実質的な注文取次先(資金の預け入れ先)は米国商品先物取引委員会から認可を受けている大手会社のR.J. O'Brienとなっています。
※2018年2月にシカゴダイレクトは廃業しました。日本語OKで小資金OKで、先物スプレッド注文可能な海外先物会社は、、、無いかも。英語できればありますが。

EIA週間統計:天然ガス在庫推移(グラフ)
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