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ハリケーンが米国の原油、ガソリン価格に与える影響

2019/03/14

EIA週間統計によると原油在庫は3週連続の増加ですが、ハリケーンの影響を判断するためには石油製品の在庫や製油所稼働率も見たほうが良いです。

下図は2017年9月13日発表のEIA原油在庫(全体、クッシング)、石油製品在庫(ガソリン、中間留分)です。

EIA発表 週間在庫統計 原油(2013~2017年比較)

EIA発表 週間在庫統計 クッシング(2013~2017年比較)

EIA発表 週間在庫統計 ガソリン(2013~2017年比較)

EIA発表 週間在庫統計 中間留分(2013~2017年比較)

原油の在庫が増えて、石油製品の在庫が減少していることがわかります。製油所稼働率を下図に示します。
米国製油所稼働率2013-2017

ハリケーン・イルマの影響で、製油所の稼働率が極端に低下している様子がよく分かります。製油所がたくさんあるエリアにハリケーンが襲来した影響で多くの製油所が停止したためです。一方でアメリカは国土が広大ですから、ハリケーンの影響を受けにくいエリアで生産された原油や、カナダからパイプラインで運ばれてくる原油は、どんどんクッシングに集まりますから、製油所稼働率が落ちることで原油が「余る」ことになります。(実際のところはナイジェリア等から輸入した原油はタンカーで運ばれてくるので、それらの荷揚げが滞る影響とのトレードオフとなりますので、そう単純ではないのですが)

前回の大きなハリケーンは2008年のハリケーン・アイクです。2008年の製油所稼働率は下図の通りです(2008-2012年の比較図となっています)。2005年のハリケーン・カトリーナのデータまでは筆者は揃えていませんので興味ある方ははEIAのデータでご自分で作成してみて下さい。

米国製油所稼働率2008-2012

ハリケーン襲来時の原油が上がるか下がるかは分かりませんが、製油所はメキシコ湾岸に多くあるため、製油所稼働率が大きく低下してガソリン価格は暴騰しやすい傾向があります。下図はハリケーン・イルマ(2017年)、ハリケーン・アイク(2008年)、ハリケーン・カトリーナ(2005年)襲来時の、ニューヨーク市場のクラックスプレッド(ガソリン価格と原油価格の差。見やすくするために単位はドル/バレルにしてあります)です。

ハリケーン・イルマ(2017年)がクラックスプレッドに与えた影響

ハリケーン・アイク(2008年)がクラックスプレッドに与えた影響

ハリケーン・カトリーナ(2005年)がクラックスプレッドに与えた影響

ハリケーン襲来時のガソリン価格の変動は極めて激しいです。あっという間にバレル換算で10~20ドル程度暴騰することもあり、取引にはかなりのリスクがあります。上級者は積極的に狙うことも可能かもしれませんが、一般的な話として、こういうときは近寄らないのが無難です。取れそうでヤラレますw

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