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ETFとETN ロールオーバー

CFDで儲けるなら価格調整額、金利調整額、権利調整額を理解せよ

2017/05/10

CFD取り扱い会社のホームページで「価格調整額の受け払いが発生します」「金利調整額、権利調整額の受払いは発生しません」などと書いてありますが、意味不明の方が多いと思うので簡単に説明しておきましょう。

CFDは、投資対象物(原油とか株とか)に対して、低資金でレバレッジをかけて投資できる優れた投資商品でありますが、投資対象物によって、価格変動以外の要因でも費用が発生します。これは受け取りになる場合と支払いになる場合があり、価格変動を当てて儲かったと思いきや、それを遥かに上回る調整額の支払いのせいで損をすることがあるので、よ~く理解しないと痛い目に遭います。「資金配分をしっかりしてナンピン買い下がりをして2~3年保有することも辞さない」という方針でも、調整額の積み重なりによって痛い目に遭うことが十分ありえるので、調整額の仕組みは十分理解しましょう。

投資対象物 発生する調整額 いつ発生するか
先物 価格調整額 先物のロールオーバー時
ETF,ETN,個別株 金利調整額 日々発生
ETF,ETN,個別株 権利調整額 権利日前後
スポット商品 金利調整額 日々発生

 まず投資対象物が先物の場合です。原油CFD、天然ガスCFD、日経平均CFD(GMOクリック証券CFDでは日本225という名称)などでは、期限が短い先物の価格に連動してCFD価格が変動するようになっています。先物には取引期限があり、取引期限が到来するとその先物は上場廃止となってしまいます。このため、CFDが参照する先物は、次々と次の取引期限の先物に乗り換えて行かねばなりません。乗り換えのことをロールオーバーと言いますが、ロールオーバー時において期限の短い先物とその次の先物には価格差がありますので、そのときの価格差を調整しなければなりません。これが価格調整額です。原油先物や天然ガス先物は限月が毎月ありますのでこれらのCFDは毎月価格調整額が発生しますが、日経平均先物やニューヨークダウ先物は限月が3,6,9,12月の4つだけなので、これらの価格調整額は年4回だけ発生します。

CFD会社取り扱い銘柄 発生する調整額 いつ発生するか
原油CFD 価格調整額 NYMEXのWTI原油先物のロールオーバー時(毎月1回)
天然ガスCFD 価格調整額 NYMEXの天然ガス先物のロールオーバー時(毎月1回)

期限が長い先物ほど価格が高い状態を順鞘(コンタンゴ)と言いますが、コンタンゴのときにCFDを買っている人は価格調整額は「支払い」となります。価格調整額の存在により「あれ?俺って幾らで買ったんだっけ?」という状態に陥ることがあるので注意が必要です。乗り換え前後での直接の損得は無いのですが、チャート上は儲かっているのに損だった、という「誤解」をしやすい仕組みのせいで損をする人が多いです。先物価格には、金利や配当の影響は既に反映されておりますので金利調整額、権利調整金は発生しません(その代わりロールオーバー時にドカンと一気に価格調整額が発生するわけです)。

 次に投資対象物がETF、ETN、個別株の場合です。これは金利調整額が日々発生します。株で信用取引をする方はよくご存知だと思いますが、信用買いをすることは借金して株を買うことと同じなので金利を払いますよね。同様にCFDでETF/ETNや株を買えば支払い金利が発生します。また株で信用売り(空売り)すると貸し株料を支払いますよね。同様にCFDでETF/ETNや株を空売りすれば貸し株料に相当する支払いが発生します。SBI証券のHYPER空売りを利用されている方などはよくご存知かと思いますが、銘柄によっては貸し株料がウシジマ君のような闇金並みのことがあります。CFDでレバレッジをかけて空売りをすると、卒倒しそうになるくらいの貸し株料(金利調整額として徴収される)が発生するリスクがありますのでご注意を。特に構造的に値下がりしやすい銘柄(ブル型ETF、ETNなど)は、貸し株料が想像以上に高額になる場合がありますので十分注意しましょう(貸し株が枯渇して新規の売り注文ができない可能性もあります)。

CFD会社取り扱い銘柄 発生する調整額(※1,※2) いつ発生するか
原油ブル2倍ETFのCFD 金利調整額 日々発生
原油ベア2倍ETFのCFD 金利調整額 日々発生
天然ガスブル3倍ETNのCFD 金利調整額 日々発生
天然ガスベア3倍ETNのCFD 金利調整額 日々発生

(※1)CFDの買いのときは株の信用取引の買い方金利と同様に支払い金利が発生する。CFD売りの対象となる株やETN等の貸し株料が小さい(あるいはゼロの)銘柄の場合の、CFD売りの場合は受け取り金利となるケースもあるのだが、資源関連のレバレッジ型ETN等は貸し株料が高額か、または空売り不可なので、金利は支払うものと考えておいたほうが良いです。
(※2)原油ETF,天然ガスETNの運営者は先物市場で先物の建玉を持ちながら、余資は米国債等で運用しているため金利収入がある。つまり理屈上は後述の権利調整金の授受が発生するはずだが、実態として殆どゼロのため本稿では無視するものとする。

株で優待狙い売買をしている方などはよくご存知だと思いますが、株の場合は「権利付き最終日」をまたいで信用取引で株を買い持ちしていると、配当は貰えないけれど配当金に応じたお金が貰えますよね。信用取引で株を空売りしてる人は、配当金に応じたお金を支払わなければならないですよね。それと同じ理屈でCFDでも配当分の授受が必要です。これが権利調整金。CFDで買ってる人は配当分の調整金を貰えるけど、売ってる人は配当分の調整金が徴収される、ということです。GMOクリック証券や、IG証券では大手石油メジャー(例えばエクソンモービル)の株をCFDで買うことができます。このような投資をした場合には権利付き最終日前後で権利調整金の授受が発生します(レバレッジをかけて株を購入しているのと同じなので金利調整金も発生します)。

最後に、金スポットなどのスポット商品CFDを買ってる場合はどうでしょうか。これは借金して金の現物(スポット)を買っていることと同じです。借金したら金利を払いますよね。それが金利調整額というわけです。金スポットにレバレッジをかけた取引なのに金利が徴収されない取引もあります。それは東京商品取引所に上場されている東京ゴールドスポット100という銘柄です。本来はCFD同様に支払い金利が発生するはずなのですがそれが発生しません。つまり、金スポットCFDを買うよりも東京ゴールドスポット100を買うほうが圧倒的に有利です(長期で買い持ちしてもコストがかからない為、年単位で見ると莫大な差となる)。公的な取引所で取引されているので価格形成も透明で流動性も十分です。

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原油CFDの鞘滑り取りでコンタンゴを収益化する
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注:IG証券に関しては本稿と異なる箇所があります。先物を原資産とするCFDでも金利徴収があるようです。

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