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原油生産量上位三国(サウジアラビア、ロシア、アメリカ)の原油生産量の推移

2019/03/14

2017年1月から開始されたOPEC加盟国と一部の非加盟国(ロシア等)の協調減産は、当初2018年3月末でしたが、2017年11月30日に行われた会合で2018年末まで延長することで合意されました。ちなみに減産量はOPEC加盟国合計で約120万バレル/日、ロシア等の非加盟国で約60万バレル/日であり、合計すると約180万バレル/日です。この数字は一見、大きいんですが後述するように、実はそれほどでもなくなってきました。

下図は世界の原油生産量上位三国(サウジアラビア、ロシア、アメリカ)の2016年1月以降の原油生産量の推移です。ソースはOPECのMonthly Oil Market ReportEIAのMonthly Crude Oil and Natural Gas Productionです。マンスリーレポートはPDFファイルとなっており誰でも無料で閲覧できます。EIAのデータも無料ダウンロードできます。ロシアとサウジの数値はPDFから手作業で拾ったものであり、多少の入力ミスはご容赦下さい(毎月のPDFファイルを開いてExcelに手入力して作成)。

サウジアラビア、ロシア、アメリカの2016年1月以降の原油生産量の推移

ロシアは減産開始直前に大増産を行っています。2017年1月以降は確かに2016年12月よりも減産していますが、減産直前の量を基準として減産目標を決めているため実質的な減産量は僅かです。その上、2018年秋以降は過去最大量の生産量となっているようです

サウジアラビアは2017年1月から、グラフではっきり分かるほど減産開始し、2018年5月までは辛抱強く減産維持していましたが、遂に2018年6月から増産しています。アメリカへのイラン経済制裁でのイラン原油輸出量が減ることに対するの穴埋めという見方もできなくはないですが増加量を見る限りは、我慢の限界が来たように見えますね。

一方、アメリカの生産量はOPEC協調減産開始の2017年1月以降、ほぼ一貫して右肩上がりの増産となっています。2016年12月の生産量が878万バレル/日であったものが、2018年9月には1148万バレル/日となっており、OPECとロシアの減産量の合計量を上回る増産をしていることが分かります。この結果サウジ、ロシア、アメリカの原油の合計生産量は2016年1月から2018年9月にかけて約1割(300万バレル/日以上)も増加する結果となっています。つまりOPEC減産量の2倍以上、ここ2年で増加してるというわけです。

下図は同じ時間軸(2016~2018年)のWTI原油先物価格チャートです。イランへの経済制裁報道(トランプ大統領によるイラン産原油を買うな、発言)で高騰する日もありましたが、サウジとロシアが増産を始めた頃から上値が重くなり、10月に入って遂に崩れたように見えます。

2016~2018年のWTI原油先物チャート

サウジアラビアの原油の生産コストは非常に安いと言われています。しかしながらIMFの試算によるとサウジアラビアが財政均衡する原油価格(ブレント)は85ドルから87ドル程度のようです。ちなみに本稿執筆時点(2018年12月26日)でのブレント価格は54.47ドル、WTI原油価格は46.22ドルでした。OPECが減産できるのは高々120万バレル/日であることから、原油価格維持のために減産に力を入れたとしても今後は焼け石に水の可能性があります。このように考えると、OPECが再び協調減産したとしても原油価格は高値に戻る可能性はあまり高くなさそうです。米国のシェールオイルの生産コストは60ドルという話もありますがもっと低い企業が多くあるのでしょうね。技術の進歩だけでなくトランプ大統領になってから規制緩和されたことによるコストダウンも寄与しているのかもしれません。

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