アメリカにおける天然ガス生産量、消費量、輸出量の推移
2019/02/03
アメリカでよく知られたシェールガスの産地はマーセラス(Marcellus)というエリアですが、半端な規模ではなく、ウェストバージニア州・オハイオ州・ニューヨーク州・ペンシルベニア州の四つの州にまたがる巨大なガス産地となっています。このほかイーグルフォード(Eagle ford)、バッケン(Bakken)などでもシェールガスが生産されており、米国全体での天然ガス生産量はここ10年で5割程度増加しています。
しかしながら天然ガスを輸送するためには陸上であれば新規パイプラインの敷設が必要であり、国外輸出するためには液化設備が必要であることから一気にドカっと増やすことは困難でありまして、生産量の伸びに対する輸出量の伸びは緩やかなものになっています。日本にも米国産LNGが輸入されたニュースがありましたが、ヒューストンの横のサビーン海峡(Sabine Pass、ルイジアナ州)で充填したLNGをメキシコ湾から拡張パナマ運河(通行料が高い)経由で、日本まで運ぶのはどう考えても高コスト。安全保障上、友好国から購入するという点では良いでしょうが、当面はオーストラリア等から輸入したほうが安いでしょう。
天然ガスはエチレンプラントの出発材料としても使われるようになりましたが、消費量の推移を見る限りは冬場に突出して多く、夏場に少ない(つまり冬場の暖房用途が支配的)という状況のようです(下図の青線のように冬場にピークをつけます。夏の小さなピークは冷房ピーク時の発電用途だろうと考えられます)。
つまり生産量が増えたけど輸出と消費はそれほど増えていないわけなので、NYMEXの天然ガス先物はかなり安い価格で推移しています。2018年11月に低在庫と寒波予報を材料に急騰しましたが、それでも高々4ドル程度であって、以前と比べればかなりの安値になっています。だけども3ドルから4ドルに一撃で上昇したためCFDで買い持ちしていた人はニッコリしてるかもしれませんね。
アメリカの天然ガス(LNG)輸出量が2017年以降伸びている
日本の液化天然ガス(LNG,Liquid Natural Gas)の年間輸入量推移と輸入単価
アメリカ天然ガス生産量の生データ(EIAで無料で月次データをダウンロードできます)
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