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ETFとETN

金ブル3倍ETFの仕組みと攻略のヒント。短期爆発力は凄いけど長期保有は駄目。

2019/06/30

アメリカ市場には、日々の金(ゴールド)価格の変動率の3倍に応じて価格変動するETNや、金鉱株指数の日々の価格変動率の3倍に応じて価格変動するETFがあります。もちろんレバレッジ無しのETFもあります。多分、誤解してる人がいると思うので最初に書いておきますが、GMOクリック証券CFDの「金ブル3倍ETF」は、金鉱株指数の日々の価格変動率の3倍に応じて価格変動するETFのことを指しています(ゴールド価格の変動率の3倍じゃなくて、金鉱山の指数の変動率の3倍)。しかしながら短期デイトレをする立場であれば、むしろ好都合です。後述するようにこのETFの1日あたりの価格変動率は金(ゴールド)の1日あたりの変動率の約7倍に及ぶ高ボラティリティ状態(高い価格変動をしている状態)を呈しているからです。

長期投資家目線で見るとレバレッジ型ETF/ETNは名前とは逆にパフォーマンスが悪い商品です。レバレッジ型やインバース型は日々の値動きによってジワジワと減価してしまう構造的問題を抱えています。金(ゴールド)に長期投資したい保守的な投資家にとって無難な銘柄は、SPDRゴールドシェアETF(GLD)と、ヴァンエック・ベクトル金鉱株ETF(GDX)、あるいは金鉱山の大会社の株などが挙げられると思います。GLDは世界最大のゴールドのETFでロンドンの倉庫にゴールドの現物が保管されています。まさにゴールドそのものに投資するETFであります。但しゴールドはご存知の通り金利を生みませんので金鉱株のETFに投資してゴールドの値上がりを狙いつつ配当を狙うほうが好みの方もいるでしょう。GDXの中身はバリックゴールド、ニューモントマイニング、フランコネバダ、ニュークレストマイニング等、世界有数の金鉱山株をたくさん集めて組成されています。特定銘柄にドカっと投資した場合、その銘柄に問題が起きた場合(例えば環境問題や大掛かりな事故等を起こして採掘許可の停止等)は痛い目に遭いますが、ETFであれば主要鉱山株全体に投資するわけですから、リスクが分散されるというわけです。

一方、CFD等でレバレッジをかけて投資する短期投資家の立場ではGLDやGDXこそがつまらない銘柄かもしれません。超短期目線でトレードしたい方はレバレッジ型ETF/ETNのCFDを使うことで、実質的に、ゴールドの価格変動と「だいたい同じ方向(または、だいたい真逆の方向に)に大きく動く銘柄」を超ハイレバレッジでトレードすることが可能となるからです。

下表は金(ゴールド)及び金鉱山(ゴールドマイナー、Gold Miner)関連のETF、ETNです。カタカナにすると誤解を生むと思うのですけど、マイナーはMiner(直訳すると採掘者)です。「メジャー(major)、マイナー(minor)」のマイナーではありません。ビットコインを採掘する人はMinerのほうですね。

通称 シンボル 名称 何に連動? レバレッジ 長期保有 証券口座 CFD口座
SPDRゴールドシェアETF GLD SPDR Gold Shares 金(ゴールド) 1倍 他と比べて低コスト SBI証券マネックス証券など サクソバンク証券
ヴァンエック・ベクトル金鉱株ETF GDX VanEck Vectors Gold Miners ETF 金鉱山株の指数 1倍 他と比べて低コスト。配当あり SBI証券マネックス証券など サクソバンク証券
金ブル3倍ETN UGLD VelocityShares 3x Long Gold ETN 金(ゴールド) 3倍 とても不利 米国系証券会社など 調査した範囲では無し
金ベア3倍ETN DGLD VelocityShares 3x Inverse Gold ETN 金(ゴールド) マイナス3倍 とても不利 米国系証券会社など 調査した範囲では無し
金鉱株ブル3倍ETF(GMOは金ブル3倍ETF) NUGT Direxion Daily Gold Miners Bull 3X ETF 金鉱山株の指数 3倍 とても不利 SBI証券マネックス証券など GMOクリック証券CFDサクソバンク証券
金鉱株ベア3倍ETF(GMOは金ベア3倍ETF) DUST Direxion Daily Gold Miners Bear 3X ETF 金鉱山株の指数 マイナス3倍 とても不利 SBI証券マネックス証券など GMOクリック証券CFDサクソバンク証券

下図はSPDRゴールドシェアETF(GLD、ゴールドのドル建て現物価格にリンクしていると考えて良い)と、金鉱株指数(NYSE Arca Gold Miners Index,GDMTR)の重ね描きチャートです。黄色線GLD価格(左軸)、黒線が金鉱株指数(右軸)です。ゴールド価格は大きく変動しないため左軸の範囲は拡大してありますのでご注意下さい。ぱっと見て分かるように金(ゴールド)価格が上下するのに伴って、概ね同じ方向に、金鉱株指数も動いていること、そして金よりも金鉱株指数のほうが変動率が大きいことが分かります。

金ETF(GLD)と金鉱株指数(GDMTR)の関係(2016年1月~2019年1月)

下図は金鉱株指数とヴァンエック・ベクトル金鉱株ETF(VanEck Vectors Gold Miners ETF(GDX))の重ね描きチャートです。ピンク線GDX価格(左軸)、黒線金鉱株指数(右軸)です。ヴァンエック・ベクトル金鉱株ETFの中身は金鉱株指数の中身と完全一致していないようですが、両者ともに世界の主要な金鉱株を集めて作られているため、ほぼ同じ動きをしていることが分かります。世界の主要金鉱株に投資したいのであればGDXは選択肢の一つになると思います。個別株で組成されたETFですから配当も貰えます。

ヴァンエック・ベクトル金鉱株ETF(GDX)と金鉱株指数(GDMTR)の関係(2016年1月~2019年1月)

下図は金鉱株指数金鉱株ブル3倍ETF(Direxion Daily Gold Miners Bull 3X ETF (NUGT), GMOクリックでは金ブル3倍ETFという名称になっているので注意)の重ね描きチャートです。2016年2月頃~8月頃にかけて、金鉱株指数が約400から約900を超えたあたりまで約2倍上昇する過程で、NUGTは20割れから約140まで7倍近い上昇をしています。しかしながら、その後はそのまま物凄い速さで価値を失っていることが分かると思います。このように金鉱株ブル3倍ETF(NUGT)は長期保有は著しく不利であり、年単位で保有すると大損する可能性が高くなっています。これはレバレッジ特性によるものであって、仕方ありません。もともと短期トレード用に設計されたETFですので短期トレードに使えば良いのです。

金鉱株ブル3倍ETF(NUGT)と金鉱株指数(GDMTR)の関係(2016年1月~2019年1月)

上の重ね描きチャートに使った生データを使って金鉱株指数の日次変動率と、金鉱株ブル3倍ETF(NUGT)の日次変動率の関係を調べたものが下図になります。金鉱株ブル3倍ETF(NUGT)の日次変動率(1日あたりの変動率)は、金鉱株指数の日次変動率の3倍になるように設計されているわけですが、実際の価格データから計算した値は3.0097倍となり、ほぼ期待通りの振る舞いをしていることが確認できました。なお、めちゃくちゃなところに数点のデータがありますが、米国株が取引できない日にも金鉱株指数の算出が行われている影響であると考えられます。金鉱株指数にはオーストラリアの鉱山等が含まれているためです。

金鉱株ブル3倍ETF(NUGT)と金鉱株指数(GDMTR)の日次変動率の関係(2016年1月~2019年1月)

ついでにSPDRゴールドシェアETF(GLD)の日次変動率と金鉱株ブル3倍ETF(NUGT)の日次変動率の関係を調べたものが下図になります。ゴールドが動くと金鉱株はゴールドより一層大きく動く傾向があり、さらに金鉱株ブル3倍ETF(NUGT)はその3倍動くので、結果として、金鉱株ブル3倍ETF(NUGT)の日次変動率はゴールドの日次変動率の約7倍も動くことが分かりました。つまり、ゴールドが1%上昇すれば、金鉱株ブル3倍ETF(NUGT)はざっくり言って7%上昇するというわけですね。もちろん、金(ゴールド)価格と金鉱株の株価が必ずしも同じ方向に動くとは限らないので期待通りの動きをしないケースもあると思いますが、過去37ヶ月の統計結果によれば、そのような傾向があったので今後も似たような動きをすることが期待できます。このように間接的ではありますが、金鉱株ブル3倍ETF(NUGT)をトレードすることで、(ほぼ)金(ゴールド)価格に応じてハイレバレッジでトレードできるというわけです。このように凶悪な特性を持つETFですからリスク許容度の低い方は近寄らないのが無難だと思います。

SPDRゴールドシェアETF(GLD)と金鉱株指数(GDMTR)の日次変動率の関係(2016年1月~2019年1月)

下図は2018年10月~2019年2月におけるSPDRゴールドシェアETF(GLD)と、金鉱株ブル3倍ETF(NUGT)の重ね描きチャートです。NUGTは長期保有は非常に不利ですが数日程度の短期値鞘狙いであれば、活用できそうです。GLDが2~3%しか上がってない数日間にNUGTが10%くらい上がっているときがありますね。

SPDRゴールドシェアETF(GLD)と金鉱株ブル3倍ETF(NUGT)のチャート(2018年10月~2019年2月)

ところで金鉱株ブル3倍ETF(NUGT)の長期保有が不利ならば、空売りすれば良いのでは?と思いますよね。信用取引で株の空売りをやる人はよくご存知だと思いますが、皆が空売りしたい銘柄は空売り禁止になるか、あるいは貸し株料が驚くほど高額になります。CFDで空売りする場合は、金利調整額の名目で貸し株料が徴収されますが、レバレッジをかけているため想像を絶する金額になる可能性がありますので空売りのリスクも相当高くなっています。十分注意して下さい。筆者はこの種の銘柄は空売りしません。

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