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原油先物とCFD 取引会社

原油に投資するならカバードワラント(eワラント)とCFDのどっちが良いか

2017/05/20

原油に投資する方法としては原油CFD、原油先物、原油ETFがあります。実はこのほかに、損失を限定しながら高いレバレッジで投資する方法としてeワラントというものがあります。原油CFD、原油先物、原油ETFの比較に関しては別稿にまとめてありますので、ここでは原油CFDと原油のeワラントの比較を行ってみましょう。

eワラントは価格決定メカニズムが非常に難しい金融派生商品(デリバティブ)ですので、万人に向いた投資商品ではありません。しかしながら商品特性をよく理解の上、資金の一部で、ホームランを狙うような取引も可能な面白い商品特性を有していますのでリスク許容度の高い投資家にとっては検討に値する投資商品になるかもしれません。

項目 原油のeワラント 原油のCFD
対象市場(※1) ニューヨーク市場(NYMEX) ニューヨーク市場(NYMEX)
取引の種類(※2) 店頭取引 店頭取引
原油の種類(※1) WTI原油 WTI原油
取引単位(※3) 1000ワラント(約5バレル相当) 10バレル(1590リットル)
売買手数料(※4) ゼロ ゼロ
最低投資金額 約2000円 約3000円
限月、行使価格など(※5) 限月とコール/プットと行使価格を選択する 選べない。一つ。
ロールオーバー(※6) なし 自動で強制的に
取引可能時間 09:00-23:50 日本時間早朝に1時間の中断時間あり
税金(※7) 申告分離、CFDや先物と合算可 申告分離、eワラントやCFDと合算可
取引会社(※8) EVOLUTION JAPAN証券
、楽天証券、SBI証券
DMM CFDGMOクリック証券CFD
など
スマホ対応取引会社(※9) EVOLUTION JAPAN証券はiPhone用アプリ有り GMOクリック証券CFDはAndroid用アプリ、iPhone用アプリ有り

(※1)eワラントは厳密にはWTI原油先物リンク債に応じて値付けされているが、実質的にWTI原油先物と殆ど同じなので、同等であるとした。
(※2)店頭取引とは売買の相手側が取引会社であるということを意味します。あなたが取引会社から原油のeワラントや原油のCFDを買った場合、取引会社があなたに売っているということになります。価格の透明性という点では取引所に劣りますが、小口で取引できるメリットを享受できることを考慮すれば、大量に売買するわけでないのであればあまり気にする必要はないでしょう。
(※3)原油価格が50ドルのとき最低売買単位の1000ワラントあたりの想定元本は250ドルなので、原油の数量では5バレル相当分となります。
(※4)手数料は無料ですが、実質的な話として、スプレッドが手数料に相当すると思います。eワラントもCFDと同様に買い気配値と売り気配値のスプレッドが存在し、CFDより広めのことが多いです。価格の低いeワラントはスプレッドの広さが損益に大きな影響を及ぼすので注意が必要です。
(※5)限月とコールまたはプットは、取引会社が提示した範囲で選択できます。例えば「2017年9月の権利行使価格50のコール」のように。
(※6)CFDは自動ロールオーバーのため買い建てて長期間ほったらかしにしておくことができますが、eワラントは満期日が到来すると取引ができなくなります。満期日までに取引会社から買ったeワラントを、取引会社に買い取って貰う必要があります。満期までに無価値になる(投資金額全てを失う)ことは十分にありえます。
(※7)日本で営業許可を得ている正当な取引会社での店頭デリバティブ、取引所デリバティブは、損益通算できます。CFDで損、eワラントで利益の場合は合計して計算できます。詳しくは税理士等にご相談下さい。
(※8)eワラント証券株式会社が発行するカバードワラント(民間会社が発行するオプションを証券化したもの)をeワラントと呼称しています。eワラント取り扱い会社は2017年4月末時点で3社のみ(EVOLUTION JAPAN証券株式会社、SBI証券、楽天証券)のようです。
(※9)eワラント用アプリ対応取引会社は2017年4月末時点で1社のみ。DMM CFDのスマホ用アプリは近日リリース予定との案内が2016年11月16日付けお知らせに掲載されていました。

次に原油CFD、原油先物、原油eワラントを用いて上昇狙いの戦略と下落狙いの戦略の比較を行いました。eワラントの最大の特徴は、何が起ころうが最初のコールの購入代(またはプットの購入代)を失うだけで済む、という、完全な損失限定取引であるという点です。完全損失限定に加え、うまく行った場合、投資金額が短期間で数倍~数十倍になる可能性もある投資商品です。このため「来週、OPEC総会がある。ひょっとすると良いニュースが出て想定外の急上昇をするかもしれないからコールを買っておくか」というようなトレードアイデアを限定された投資予算で実行することができるというわけです。しかしながら投資した資金全額を短期間で全額失うリスクも併せ持っています(損失限定だけど、全額失う可能性はけっこう高い)。

<原油CFD、原油先物、原油eワラントで上昇狙い戦略の比較>

最低投資金額 売買内容 最大利益 最大損失
CFD 3000円程度 原油CFDの買い建て 上昇幅に応じて利益拡大 下落幅に応じて損失拡大
原油先物 30万円程度 原油先物の買い建て 上昇幅に応じて利益拡大 下落幅に応じて損失拡大
eワラント 2000円程度 コールを買う 数倍になる可能性あるが、原油が上昇しても丸損の時もある 最初に支払ったコールの買い付け代金だけ

<原油CFD、原油先物、原油eワラントで下落狙い戦略の比較>

最低投資金額 売買内容 最大利益 最大損失
CFD 3000円程度 原油CFDの売り建て 下落幅に応じて利益拡大 上昇幅に応じて損失拡大
原油先物 30万円程度 原油先物の売り建て 下落幅に応じて利益拡大 上昇幅に応じて損失拡大
eワラント 2000円程度 プットを買う 数倍になる可能性あるが、原油が下落しても丸損の時もある 最初に支払ったプットの買い付け代金だけ

2016年10月頃から12月頃にかけてOPEC減産決定で原油先物が上昇した頃の原油価格と、eワラント価格の比較をしてみましょう。eワラントは限月とコールかプットと権利行使価格を選べます。権利行使価格50のコールで、限月を3つ(2017年3月限、6月限、9月限)で比較してみましょう。コールは原油価格が上昇すると価値があがる投資商品です。

2016年秋のOPEC減産決定前後の原油価格とeワラント価格の比較チャート

eワラントは期間が短いほど「うまく行ったときの倍率」が大きくなるという性質があります(うまくいかなかった場合、ゼロになる確率も高いという逆の性質も併せ持っています)。うまくいったときの原油価格とeワラント価格(取引会社の買取価格)を表にしてみましょう。

原油価格 2017年3月 50コール価格 2017年6月 50コール価格 2017年9月 50コール価格
2016/11/14 46.81 1.17 2.53 3.40
2016/12/12 56.70 4.17 5.75 6.47
何倍になったか 1.2 3.6 2.3 1.9

2017年3月限(取引の満期は2017年2月なので注意してね)の権利行使価格50のコールの場合、上手に仕込めば投資資金を3倍にできたことがわかりました。もちろん、このときにCFDを買っていた人も利益を得ているわけですが、値上がり前に一旦原油価格が下がるとロスカットされているかもしれません。CFDの場合は、意図せざる暴落、例えば月曜の早朝にいきなり原油価格が10ドル下落したようなケースでは(窓明けの大暴落では)、著しく不利な価格でロスカットされ、投資元本を全て失った上に不足額を請求される可能性があります。それに対しeワラントは月曜の早朝にいきなり原油価格が10ドル下落したようなケースでも、最大損失がコールの買い付け代金に限定されます。「本当に損失限定の取引」という点が最大の特徴と言えると思います。しかしながら問題点もあり「決まった期間内に狙った方向にそれなりの値幅」動かない場合は、相場の方向を当てたのに損失を蒙るケースがあります。投資商品というよりは投機商品だという認識で、資金管理してトレードする必要がありますね。

最後に失敗例を挙げておきましょう。権利行使価格40のプットで、限月を3つ(2017年3月限、6月限、9月限)で比較してみましょう。プットは値下がりすると価値が上がる投資商品です。

2016年秋のOPEC減産決定前後の原油価格とeワラント価格の比較チャート(プット)

権利行使価格が40ドルですので、原油価格が50ドル以上で推移しながら時間が経過したため、どんどんプットの価値が下がっていることが分かります。プットの値段の最低額はゼロですので、最初のプット購入代金以上は損することはありませんが、投資した金額全部を失うリスクがあることがよく分かると思います。タイミングを計らって、売買したほうが良いと思います。長期間保有するとどんどん価値が下がる投資商品ですからね!

活用方法としては、例えばCFDで既にけっこう買い持ちしてる人が、明日の統計でネガティブな統計が出てドカンと下がると嫌だなという場合にプットを買っておく、みたいな感じだと思います。eワラント1本で攻めるのは、競馬で言うと万馬券ハンターのようなもので紙くず、紙くず、紙くず、20倍、みたいな感じになるはずです。ちなみに筆者は万馬券ハンターで1000倍以上を何度も的中させているため、eワラントのような「投資元本全部を失うような賭け」は慣れておりますが、リスク許容度の低い方にとっては負ける頻度の高い我慢ならない投資商品なので、絶対手を出さないという考えも賢明な判断です。世の中には20戦1勝でトータルプラスになるような投資方法を継続的に行っても平気な人がいます。そういう人にとってはeワラントは検討の余地のある投資商品かもしれません。

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