OPECが減産してもアメリカが増産するから需給がなかなか均衡しない
2019/02/11
2016年11月30日のOPEC総会で減産が確定し、その後、ロシア等の非OPECも協調減産することで合意されました。減産は2017年1月から行われ、OPEC生産量はほぼ約束通りの減産が実行されています。一方、アメリカはOPECの減産とはまったく関係ない独自路線を進んでおり、原油価格が上昇すればシェール生産が増えるのではと言われておりましたが、実際、そうなってしまったようです。アメリカは原油生産量より消費量のほうが多い輸入国でありますが、米国内の原油生産量が増えていけばWTI原油先物価格にはネガティブな影響を与えると考えられます。
下図は2016年6月以降のOPEC生産量と、アメリカのシェールオイル生産量(Bakken,Eagle Ford,Haynesville,Marcellus,Niobrara,Permian,Utica Regionの合計)を比較したものです。2017年1月からOPECがキッチリ減産しているのに対し、アメリカの生産量は2017年1月から右肩上がりで増産していることが分かります。そりゃ生産すればするほど儲かれば、ガンガン生産したくなるでしょうね。
アメリカは原油の輸入国ですが(生産量は多いけれども消費量はさらに多いので差引きでみると輸入量は多い。ナイジェリアなどから輸入している)、自国内の生産量が増えていることを考慮すれば、EIA在庫統計で原油在庫が過去最高レベルからほとんど変わらないのもうなずけます。
ところでBaker Hughesが発表しているRig Countは、米国の生産動向を占う上で注目されておりますが、以前と比べてリグ数が明らかに少ないのに、なんでシェールオイルが増えてるんだ?って思いませんか。2016年頃から1つのリグ当たりの生産量が急増してる、という背景があります。下図はBakkenのリグ数と、リグ当たり生産量の推移です。明らかに生産効率が向上していることがわかります。
これは、どう見ても生産コストも下がっているはずなので、アメリカの生産者は、益々、増産したくなってしまうのかもしれません。
GWに原油価格が急落しましたよね。。。OPEC減産延長をにらみつつ、原油は今月は横ばいだろうと予想してて、ポジションは少し強気に傾けていたので酷い目に遭いました。原油トレードは難しいね。
上の話の続きは、この記事(原油生産量上位三国(サウジアラビア、ロシア、アメリカ)の原油生産量の推移)が参考になります。
Bakken,Eagle Ford,Haynesville,Marcellus,Niobrara,Permian,Uticaの生産量(EIA)
OPEC生産量はOPEC月報がソースです。OPEC生産量は60~70ページ目くらいにあります。
シェール層掘削会社の油井当たり原油生産が増加
2017年3月のOPEC減産動向
原油CFDを扱うCFD会社の比較。銘柄、手数料、スプレッド
CFTC建玉明細で原油の投機筋のポジションを読む