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2017年2月のOPEC減産動向

2017/03/19

下表はOPECが2016年11月の総会で合意したOPEC各国の削減目標と、OPEC月報記載の2017年1月及び2月の実際の原油生産量の比較表です(リビア、ナイジェリアは減産対象外なので除外。インドネシアも除外)。基準値は2016年10月の生産量(但しアンゴラは2016年9月、イランは自国主張水準の模様)で、生産量目標はこの基準値から約4.5パーセント削減した量となっているようです。単位は万バレル/日です(OPECのプレスリリースの表では単位が千バレル/日)。なおOPEC月報記載値はsecondary sourcesの値、すなわちOPEC諸国の自己申告値ではなく通信社や石油情報会社等のOPEC以外の機関が集計した値です(自己申告値より信憑性があるというわけですね)。

基準値 目標値 1月生産量 2月生産量 1月と2月の差
アルジェリア 109 104 105 105 -0.0
アンゴラ 175 167 166 164 -1.8
エクアドル 55 52 53 53 -0.4
ガボン 20 19 20 19 -0.7
イラン 371 380 378 381 +3.6
イラク 456 435 448 441 -6.2
クウェート 284 271 272 271 -0.9
カタール 65 62 62 62 -0.0
サウジアラビア 1054 1006 987 980 -6.8
UAE 301 287 296 293 -3.7
ベネズエラ 207 197 200 199 -1.6

この表を見る限りは2017年1月に引き続き、2017年2月も概ね計画通りの減産が行われているように見えます。しかしながら、2017年2月のOPEC月報によるとサウジアラビアの自主的な発表値は2017年1月の生産量が975万バレル/日に対し、2017年2月の生産量は1001万バレル/日と増加しています。つまり通信社等の外部機関の統計値では減少していたけどサウジは1月より増やしたぞ、と言ってるわけです。このことと、サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相の「苦労せずに利益を得ている国々から及ぶしわ寄せにいつまでも耐えるわけではない」という発言が決め手となり、先週は原油が大きく下落しました。特にWTIの期近限月は50ドルの節目を割れたため、おそらくファンド等のストップロスを巻き込んで一気に売り込まれた感じがしますね。ちなみに私もWTIで少々ヤラレましたw

EIAの週間原油在庫統計(2017年3月15日発表)を見ると、米国の原油在庫は過去最高の2016年を超えるレベルを推移しています。米国の原油在庫の多さはサウジから見れば「労せず利益を得ている」となっても仕方ない気がしますね。
EIA_Weekly_Stocks_Crude20170315

ガソリン在庫(2017年3月15日発表)も2016年と同じくらい高水準です。
EIA_Weekly_Stocks_Gasoline20170315

例年、3月に入るとガソリン在庫の減少に吊られてガソリンが強くなっていき、それに引っ張られるようにWTIも強くなっていきますが、最近は妙にガソリン価格が弱いのが気がかりです。下図は6月限同士のNYMEXのガソリンのクラックスプレッドの比較図です。クラックスプレッドとは石油製品と原油の価格差です。例えばリンゴジュースの理論価格は大雑把に言ってリンゴ代+加工費と考えることができますが、石油製品も同様の考え方をします。要するにクラックスプレッドは石油製品の精製マージンであり、クラックスプレッドが大きいほど石油製品の価格が相対的に強いことを示しています。
NYMEX_crack_spread20170317
クラックスプレッドの単位はセント/ガロンで表示されることが多いのですが、私はドル/バレル表示のほうが分かりやすいので、そうしてます。2017年のガソリンのクラックスプレッドは妙に弱いですね。これが非常に気持ち悪いので強気ポジションを取りづらい気がします。

OPECの減産は一応、今のところ2017年1月~6月ということになってます。OPECのシナリオとしては、その頃までに世界の原油在庫水準がタイトになるとともに、世界の原油需要も上向いてくるので生産量を戻しても大丈夫(原油価格は強いままになるはずだ!)という感じで考えているようなのですが、米国の原油在庫を見ると少々懐疑的になりますね。2017年下期(7月~12月)に減産するかどうかはまだ分かりません。今のところ減産延長を叫んでいるのはクウェートのようです。

OPEC Monthly Oil Market Report(英語、2001年までの月報が見れるよ)
OPEC減産合意量のプレスリリース(英語、PDF直リンクなので注意)
2017年1月のOPEC減産動向(1)
2017年1月のOPEC減産動向(2)
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