原油CFDの売買差金は損失でも、価格調整額を合計したら利益になることもある
2017/04/23
CFDの価格調整額は、積み重なると大きな金額になります。FXのスワップよりも体感的にかなり大きな金額です。下図は2015年8月3日から2015年10月30日のWTI原油先物価格と原油CFD価格です。拡大しないと少々見づらいですが原油CFDは参照限月が移り変わっていくため最初は青線と一致していたものがピンクの線に移り、黄色の線に移り、最後は黄緑の線に移っています。
2015年8月3日に原油CFDを45.17で売り建てたとします。このときのCFDの参照限月は2015年9月限でした。その後、売り建て玉をしばらく維持し、2015年10月30日に46.59で決済したとします。このときのCFDの参照限月は2015年12月限でした。45.17で売って46.59で買い戻したので一見、1.42ドルの損失を蒙ったように見えますが、損益計算では途中3回のロールオーバー時に受け取った価格調整金を考慮しなければなりません。取引会社によって日にちは異なりますが、ここでは毎月ニューヨーク市場の第5営業日の終値でロールオーバーしたと仮定します。すると9月限→10月限のロールオーバーでの価格調整額は0.49ドルの受け取り、10月限→11月限のロールオーバーでの価格調整額は0.65ドルの受け取り、11月限→12月限のロールオーバーでの価格調整額は0.59ドルの受け取りとなり、合計の受け取り額は1.73ドルです。つまり売買損益は合計で0.31ドルのプラスとなります。取引数量が100バレルであれば31ドルの利益が出たことになりますね。
価格低迷時は期近よりも期先高いコンタンゴ状態となりやすく、期近ほどダラダラと下がりやすい(あるいは上値が重い)傾向があるため、原油CFDを売り建てした状態で何度かロールオーバーを繰り返すと、価格調整額が積みあがって行くことが多いです。あたかもFXの受け取りスワップ金利がたくさんもらえるような感覚です。原油ETF/ETNは売り建てできない銘柄がありますが、CFDは売り建てが容易にできますので、コンタンゴによる価格調整額を積み上げつつ値下がり益を狙うことが可能です。本例では、原油CFDの値上がり幅よりも、価格調整額の総額のほうが上回っていたので利益となりましたが、損失を蒙る場合もありますので売れば必ず儲かるというわけではありません。しかしコンタンゴの幅が大きいときは売りのほうが有利と言えます。コンタンゴの幅が大きい時期は短期で終わることは少なく数ヶ月単位で長期化しやすいためです。
原油CFDを長期で買い持ちすると損をする。
原油ETFを長期で買い持ちすると損をする。
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