米国市場なら原油2倍ETFを空売りできる。CFDで売買可能。
2019/02/03
2038「NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油 ダブル・ブル ETN」は、TOCOM原油先物の日々の変動率の2倍をトラックするETNであり、長期保有すると著しく減価していくという残念な特性を有しています。YahooのTextreamの投稿記事を読むと、空売りしたい願望を持っておられる方が多数いらっしゃいます。
2038は制度信用取引において買い建てしかできない銘柄(貸借融資銘柄)のため、一部の証券会社で限定された条件下で売るしかありませんが、実態として空売りは著しく困難です。というのは「売れる数量が限られている」「金利が非常に高い」「短期のみ(例えば一日限り)」という制約があるため、レバレッジ型ETNの減価特性を収益化するための中・長期の売り建てができません。
米国市場にはProShares Ultra Bloomberg Crude Oil(シンボルUCO)という、2038と類似した性質を持つETFがあります。リスクの高いETFですから米国株を扱う日系の証券会社の証券口座での扱いはないようですがGMOクリック証券CFDで売買可能です(GMOクリック証券ではプロシェアーズ・ウルトラショート・DJ-UBS原油という名称になっていますが、これは古い名称)。米国版Yahoo! FinanceによるとUCOの構成銘柄はWTI原油とWTI原油サブインデックススワップとなっており、構成比率を全部合計すると200%になっています。つまり、実質的に総資産の2倍分のWTI原油先物を買い建てしているということになります。2038の場合は総資産の200%分の東京商品取引所(TOCOM)のドバイ原油先物を買い建てしている値動きをするわけですので、両者の主たる差異は原油の種類と、為替だけになります。ロールオーバールールの違いなど、細かい差異はありますが2015年以降の原油価格下落時のパフォーマンスは似たり寄ったりの惨憺たる結果になるであろうと予想されます。さっそく比較してみましょう。
下図は2015年1月1日の価格を100としたときの、WTI原油先物の期近価格、2038の価格、UCOの価格、UCOを円換算した価格の推移を示します。
2038とUCOでは、原油の種類が異なるものの、殆ど同じ酷いパフォーマンスを示しています。どちらもレバレッジ特性に起因する減価が支配的となっており、為替の影響は誤差程度となっています。なお、最新のチャート比較を行いたい方は、Google Financeにアクセスし上のほうにあるSearch Financeの枠にUCOを入力してから右のボタンを押し、表示されたチャート上のCompare欄にTYO:2038を入力してAddボタンを押してみて下さい。まったく異なる市場の株を同時に比較できて便利です。「TYO:」は東京市場という意味です。TYO:1699を入力すればUCOと1699を比較できますよ。
※筆者追記。Google Financeでは上に書いたチャート描画ができなくなってしまったようです。なんで不便にするんだよよう。。。
CFDを用いてUCOを空売りできるのはGMOクリック証券CFDが挙げられます。しかしながら空売りはリスクが高い戦略です。上のチャートを見ると右肩下がりに見えるものの、2015年8月に短期間で価格が1.5倍になっている時期があります。この時期にレバレッジをかけて空売りしている場合、投下元本以上の損失を出している可能性があります。UCOは米国の取引時間しか取引されてないので、翌日の取引開始時にいきなり不本意な価格でロスカットとなる可能性があります。このように週明け前後等でのギャップアップやギャップダウンを食らった場合、元本全てを失うだけでなく口座残高がマイナスになる可能性があります。
また、このETFが長期で下落しやすい傾向は皆さん当然のように知っておりまして空売りニーズが高いことから当然のことながら空売りに要する貸し株料が高額だったり、貸し株が枯渇していて空売り禁止になるのが普通です。この種のETFをCFDで空売りした場合の貸し株料は、金利調整額の項目で請求されることになります。俗に「買いは家まで、売りは命まで」と言われます。十分気をつけましょう。筆者はこの種のレバレッジ型ETFはデイトレ用途でしか触りません。
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