2038「NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油 ダブル・ブル ETN」の価格シミュレーション(1)
2016/06/28
2038「NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油 ダブル・ブル ETN」の価格は、東京商品取引所(TOCOM)の原油価格の「前日からの変動率の2倍」に応じて変動します。ポイントは「前日からの変動率」です。仕組み上、2日以上経過すると、TOCOM原油価格が変化していないのに、2038の価格が下がることがありえます。
例えば下表に示すようにTOCOM原油価格が23000円と24000円を行ったり来たりしているケースを考えてみます。初日の2038の価格は1000円と仮定します。一日目のTOCOM原油の変動率は(24000÷23000)-1をパーセント表示すると+4.347%です。2038の変動率はこれの2倍ですから、+8.696%です。つまり1000円から1087円となります(ここでは小数第一位を四捨五入して計算しています)。二日目はTOCOM原油価格が24000円から23000円に戻ってしまいました。変動率はマイナス4.166%なので2倍するとマイナス8.333%です。したがって2038の価格は1087×(1-0.08333)=996円となります。0日目と2日目を比べるとTOCOM原油価格は23000円のままですが、2038の価格は4円も下がっています。これを繰り返すと僅か10日目で、2038の価格は1000円から982円まで減価してしまいます。
グラフにしてみるとこのようになり、じわじわと2038が減価してゆく様子が分かります。
今度は下表のようにTOCOM原油価格が23000円と25000円を行ったり来たりしているケースを考えてみます。上の例よりも原油の変動量が2倍になった例です。原油価格が同じなのに、僅か10日目で、2038の価格は1000円から932円まで減価してしまいます。このように「原油価格の変動率が高いほど、2038は減価しやすい」です。
グラフにしてみるとこのようになり、かなりの速さで2038が減価してゆく様子が分かります。これがレバレッジ型ETFの恐ろしさです。
別の例を考えてみましょう。TOCOM原油価格が23000円から30000円まで急騰後、まっすぐ急落して再び23000円になってしまったとします。この場合も残念ながら、2038の価格は減価してしまっています。1000円から916円までの減価ですから8.4%も減ってしまっています。
以上をまとめると、
・原油先物価格が全く変化していなくても、2038は減価することが多い
・原油先物価格の変動率が大きいほど、2038は減価しやすい
・原油が急騰後に急落した場合、上げ幅より下げ幅が大きくなる可能性が高い