イギリスのEU離脱報道前後での、ドバイ原油、WTI原油、カナダドルの動き(おまけ:ポンド、円)
2016/06/28
イギリスでは、EU残留派議員の殺害事件の影響もあり、EU離脱を問う国民投票の事前予想は「EU残留」のほうに傾いていました。が、実際には事前予想の逆の結果でした。2016年6月24日の東京時間帯では、投票の途中経過の報道を受けて日本円は暴騰、ポンドと株価は暴落するという激しい動きとなりました。
こんなに激しい日に、東京商品取引所のドバイ原油先物と、カナダドル(対円)の動きを重ねるとどうなるんでしょうか?さっそく見てみましょう。
重ねてみると、まるで写真相場です。しかし実はドル円の動きとも殆ど一致しています。
東京市場のドバイ原油は円建てなので、為替が大きく動くとその影響をモロに受けてしまいます。対ドルでの変動を比較したいところです。
原油価格とカナダドルの相関を調べた結果では、対ドルレートのほうが相関が高くなっていました。WTI原油先物とカナダドル(対ドル)のティックチャート(Time&Salesのデータ)を重ね描きしてみましょう。GLOBEXのTime&Saleデータは直近1営業日分だけ公開されているため、これを用いました。データ加工に手間取ったのでよく動いた2時間だけです。上のチャートとは時間軸が異なるのでご注意下さい。GLOBEXとは、世界屈指のデリバティブ市場のCMEグループが運営する電子取引システムの名称であり、WTI原油先物だけでなく、通貨先物、株価指数先物などが、ほぼ24時間取引されております。昔は、人間が大声をあげて売ったり買ったりするピット取引が中心でしたが、現在では殆どの取引がGLOBEX上で行われています。
WTI原油先物とカナダドル(対ドル)は、多少デコボコしておりますが、荒れ相場時におけるTickチャート比較であっても、そこそこ相関が高いことが確認できました。
せっかくなので同時刻におけるポンドと円の価格も重ね描きしてみます。日本市場においてはFXでは対円レートが一般的なのですが、世界市場ではドルが中心なので、「ドルに対して高いか安いか」という見方をします。つまり「1英ポンドは何ドルか」「100円は何ドルか」というように見ます。11:44頃にポンドが対ドルで売られ、円が対ドルで買われている様子が分かります。したがってポンド円に換算すると瞬殺されるくらい激しい円高になってしまうわけです。なお、GLOBEX上で取引されているポンドや円などの通貨先物は、先物であって直物(スポット)取引ではないですが、ほぼ同じと考えてかまいません(金利差分、僅かに価格に違いがあるだけです)。
日経平均先物は、12時45分頃からサーキットブレーカーで取引停止となりました。参考までに、この日の225先物と為替を重ね描きしたチャートも掲載しておきます。