米国市場には原油ブル3倍ETNがある!
2017/04/28
米国市場には原油先物の日々の変動率の3倍をトラックする恐ろしいETNがあります。その名はUWIです(VelocityShares 3X Long Crude ETN linked to the S&P GSCI Crude Oil Index Excess Return)。別稿において2038「NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油 ダブル・ブル ETN」とUCO(ProShares Ultra Bloomberg Crude Oil)の比較を行い、どちらもレバレッジ特性の影響により中・長期では惨憺たるパフォーマンスであったことを示しましたが、今度は原油の値動きの3倍をトラックするため、更に酷い減価が生じるであることが容易に推定できます。
下図は2015年1月1日の価格を100としたときの、WTI原油先物の期近価格、原油ブル2倍ETF(UCO)の価格、原油ブル3倍ETN(UWTI)の価格の推移を示します。2038の価格シミュレーションの場合と同様に、原油価格が上げ下げを繰り返すことにより、ETF(ETN)価格は毀損され、かなりの速度で減価してゆきます。チャート期間中において、原油先物価格(期近)がほとんど変化していないのに原油ブル2倍ETF(UCO)は1/3以下に、原油ブル3倍ETN(UWTI)は、なんと1/10以下になっています。
下表は2016年5月11日から6月7日の、WTI原油先物の変動率と、UCO、UWTIの変動率を比較したものです。UCO、UWTIはWTI原油先物価格の変動率の2倍、3倍に応じて変化するはずですが、ややズレが見られます。
一次関数でフィッティングしてみるとUCO、UWTIの変動率はWTI原油先物の1.8倍、2.8倍でした。データ点数が少ない点を割り引いても、トラッキングエラーがやや大きいようです。
CFDを用いてUWTIを売買できる証券会社もありますが、中長期の買い戦略は商品設計上、極めて不利な点には留意しましょう。空売りに対応していない証券会社が多数派であると思われますが、もし可能だとしても著しく高額な貸し株料負担が発生する可能性が高いことや、原油価格が連騰した場合はUWTI価格がごく短期間で1.5~2倍に上昇することは十分考えられますので中・長期で売りが有利に見えたとしても、そんなに簡単であるとは思えません。もしトレードするとしたら資金に余裕を持ち、少量だけをデイトレの買いとするのが無難だろうと思います。筆者はこのような銘柄は怖いのでトレードしませんが、短期トレードが得意な方にとってはUWTIの値動きの速さが魅力になるかもしれませんね。原油先物が1%動けばUWTIは3%動くわけですから。
<追記>ETF Daily Newsによりますと、米国の原油ブル3倍ETN(シンボルはUWTI)は2016年12月に上場廃止とのこと。GMOクリック証券でも、上場廃止に伴う当該CFDの扱い停止について掲示が出ていました。
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