日本の液化天然ガス(LNG,Liquid Natural Gas)の年間輸入量推移と輸入単価
2019/02/03
近年、アメリカのシェール革命により天然ガスが脚光を浴びておりますが、日本はかなり前からエネルギー源として液化天然ガス(LNG)を輸入しています。1990年代前半の主たる輸入先はインドネシアでしたが、1990年代後半からマレーシアが加わり、2000年代はオーストラリアやカタールからの輸入量が伸び、2010年代はロシアからの輸入量が増えています。2017年の輸入先上位5ヶ国ランキングはオーストラリア、マレーシア、カタール、ロシア、インドネシアとなっており、アメリカからの輸入量は5位のインドネシアの15%以下でした。オーストラリアやマレーシアは三菱商事主導のプロジェクト等(豪州ウィートストーンLNGプロジェクトにおけるLNG生産開始、Malaysia LNG Sdn. Bhd. / Malaysia LNG Dua Sdn. Bhd. / Malaysia LNG TIGA Sdn. Bhd.)からの輸入が大きく寄与していると考えられます。
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注) 液化天然ガス(LNG)の輸入数量は財務省貿易統計による。実行関税率表においてLNGのコードは2711.11-000です。生データで確認したい人は、まず実行関税率表で探したい品目のコードを探し、次に財務省貿易統計で必要な統計を見て下さいね!
ところで、そもそもなぜ、わざわざ液化天然ガス(LNG)なんか輸入するのでしょうか。1次エネルギー輸入先の分散、友好国からの輸入による安全保障の確保など、いろいろ理由はあると思いますが1997年12月のCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)で採択された京都議定書の影響は無視できないでしょう。原油の代わりにLNG使用量を増やす理由は、ズバリCO2排出量削減のため、というのが最初のモチベーションでしょう。下表は燃料別の二酸化炭素(CO2)排出量の比較です。排出係数が小さいものほど、単位熱量あたりのCO2排出量が小さいことを示しています。排出係数の比を計算すると一般炭(石炭):原油:LNG=10:7.5:5.5となっています。つまりLNGを使用することで石炭の55%のCO2しか発生させずに済む、というわけです。
燃料の種類 | 排出係数 | 単位発熱量 | 単位あたりCO2排出量 |
---|---|---|---|
一般炭 | 0.0247 [tC/GJ] | 26.6 [GJ/t] | 2.409 [kg-CO2/kg] |
原油 | 0.0187 [tC/GJ] | 38.2 [GJ/KL] | 2.619 [kg-CO2/L] |
LNG | 0.0135 [tC/GJ] | 54.5 [GJ/t] | 2.698 [kg-CO2/kg] |
注)特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定に関する省令に基づき作成
CO2削減のためにLNG輸入量を増やしているところに、アメリカがシェール革命で天然ガスを増産できるようになったために、CO2排出量が少なく、しかも安いエネルギー源となった、ということですね。もともとLNG価格は原油価格リンクだったので日本は相当割高な価格を払っていたわけですが、だんだんそうでもなくなってきた、というわけですな。
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