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ロールオーバー 原油先物とCFD

先物つなぎ足を見ると騙される

2016/06/28

個別株のチャートを見る場合、チャートは株価の上げ下げをそのまま反映しています。まあ、細かく言うと配当落ち分を補正するかどうかや、株式分割の影響も考慮して修正したりするわけですが「先物つなぎ足」のチャートを見たときのような大きな落とし穴はありません。

一般に、原油先物は決済期限があります。ニューヨークの原油先物は、執筆時点において2024年12月限までの限月があります。取引期限が、2年先くらいまでの先物は一ヶ月おきくらいの限月があります。限月とは決済期限を迎える月のことですが、原油先物の場合は、一つ前の月が実際の決済期限となります。例えば2016年12月限の実際の決済期限は2016年11月の半ば頃です。

海外市場においては、多少の例外があるものの、最も決済期限の近い限月の取引量が多いことが多いです。ニューヨーク市場で最も取引量の多いWTI原油先物の場合でも同様ですが、一ヶ月ごとに次々に決済期限を迎えるため、一ヶ月以上の長期のチャートを表示させる場合は、限月の異なる先物のチャートを繋げていきます。これを「先物つなぎ足」と言いますが、異なる限月の先物価格は微妙に異なるので、一ヶ月ごとに繋いでいくと、僅かな差がどんどん積みあがっていくので「こんなに上がってるじゃん」と誤解を招きます。

極端な例を挙げてみましょう。リーマンショック時には原油が暴落しました。このとき、例えば2009年2月6日のニューヨーク原油価格の終値は、
2009年3月の先物 40.17ドル/バレル
2009年4月の先物 46.15ドル/バレル
2009年5月の先物 48.85ドル/バレル
のようになっていました。

先物つなぎ足は、決済期限の異なる先物を無理矢理繋げて作るため、もしこの日に繋げるとすれば、いきなり価格が6ドル上がったように見えます。こういう操作を毎月行っていくことで、どんどん誤差が蓄積され、「原油価格が見かけ上、大きく上がってる」ように見えてしまうわけですね。これを防ぐためには、決済期限の異なる先物のチャートを繋ぐとき、その差を、毎月修正していきます。これを「修正先物つなぎ足」といいますが、これは自分で作成するしかありません。

原油ETFは決済期限が来るたびに期限が短い先物を売って期限が一ヶ月長い先物を買いなおしていますので、先物つなぎ足が上のような理由で上がっていたとしても、ETF保有者はその上昇分を享受できません。修正つなぎ足に応じた上昇分しか享受できません。

2008年~2009年におけるWTI原油先物つなぎ足、修正したつなぎ足のチャート

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