初心者向け。CFD投資とは、どんな取引ですか?
2017/05/20
CFDとは、少ない資金(証拠金)しか使わずに、売買したときの差額のみをやりとりする取引(差金決済取引、さきんけっさいとりひき)です。英語ではContract for Differenceと書くため、略してCFDです。世の中で広く売買されているFXも実はCFDの一種です。
取引対象 | 通称 |
---|---|
ドルやユーロなど通貨 | FX。「通貨CFD」と呼んでも良い |
原油や金などの商品 | 商品CFD |
株価指数 | 株価指数CFD |
外国株 | 外国株CFD |
理屈上はどんなCFDでも作れます。債券CFDとか日本株CFDを扱ってる取引会社もあるようですし、バラエティCFDという名称で特徴的なCFDを提供している取引会社もあります。様々な金融商品を売買できることはCFDの大きな魅力ですね。
次に資金効率の話をしましょう。現物株の場合、500円の株を1000株買い、510円で売ったとします。50万円払って株を買い、51万円で売ったことになり1万円の利益となりますが(手数料無視します)、元手を50万円も使っているので利益率はたいしたことがありません。
原油CFDで、50ドル(1バレルあたり)で100バレル買い、51ドルで売ったとしましょう。5000ドル分の原油を買い、5100ドルで売ったわけですから、100ドル(約1万円)の利益となります。この売買に必要な証拠金は取引会社によりますがレバレッジ20倍とすると3万円以下で済みます。約3万円の元手で、約1万円の利益です。すごい利益率ですね。
このように、CFDやFXの最大の魅力は、多様な銘柄でレバレッジをかけて投資できることであるといえます。CFDやFXを行うためには証拠金と呼ばれる資金を預ける必要がありますが、預けた資金よりも大きな金額を投資することができます。
株の信用取引の場合、現金100万円を用意すると約3倍の300万円までの買い建て(または売り建て)が可能です。CFDの場合はそれよりも大きな5倍から20倍程度の買い建て(または売り建て)が可能です。例えば20倍のレバレッジがかけられる銘柄の場合、100万円の現金資金を預けることで2000万円分の銘柄を買い建てすることができます。期待通りの値動きをすればレバレッジによる利益は爆発的なものになりますが、逆に動けばあっという間に大きな損失を蒙り元手の一部または全て以上を即座に失う可能性があります。
多くの取引会社では、自動的でロスカット注文を置いてくれます。ロスカット注文とは「損失が一定額以上を超えたら自動的に損を確定して、それ以上、損が広がるのを抑えてくれる注文」のことです。このため期待に反する動きをしても損失は限定的になるはずなのですが、相場が急変動する場合は価格が連続的に動かずに不利な方向にいきなり大きく飛び、ロスカットの幅が想定外の大きさになる可能性があります。頻繁にあるわけではありませんが、理屈上は投下資本以上の損失を蒙る可能性があります。このため借り入れ金や生活資金をCFD投資には絶対に使ってはいけません。あくまでも余裕資金を用い、資金に余裕を持って控えめの数量で売買することが肝要です。
CFDでは「売り建て(空売り)」を行うことができます。売り建てとは、持っていないものを売ることです。わたちたちの日常生活では「売る」という行動はあまり取ることがありませんのでイメージがわきにくい人がいるかもしれません。あなたが友達から本を借りたとしましょう。あなたは借りたことをすっかり忘れて古本屋に100円で売ってしまったとします。ある日、友達が本を返してくれと言ってきました。そこであなたは古本屋に行って状態の良い同じ本を探し出し300円で買い、そしらぬ顔をして友達に返却しました。あなたの損益を計算してみると、100円で売って300円で買い戻したので200円の損です。CFDでも同じことです。原油を50ドルで売り建てして、52ドルで買い戻せば、2ドルの損です。例が良くないですね。50ドルで売り建てして48ドルで買い戻せば2ドルの利益です。
先物とCFDって似てる?と思った方もいるかもしれません。CFDは先物の仕組みの中で、いいとこどりをしているようなものです。CFDは先物よりも小額で売買できることや、日本から売買しづらい市場の銘柄(例えば外国市場の先物や株など)を売買できるメリットがあります。例えばWTI原油で比較すると、下表のようになります。
取引対象 | 売買単位※ | 取引時間 | リアルタイムデータ料金 |
---|---|---|---|
WTI原油CFD | 10バレル単位 | 先物と同じ(ほぼ24時間) | 無料 |
WTI原油先物 | 1000バレル単位 | ほぼ24時間 | 有料 |
※売買単位は取引会社によって異なり、売買単位が最も小さい取引会社では10バレルから取引できるので資金10万円でも原油に直接投資することができます。
日本においてもWTI原油先物を売買できる取引会社がないわけではありませんが、個人で売買を行う場合は、税制上の問題がありますしリアルタムデータ料金を支払う必要があります。もしあなたが海外先物で10000ドルの利益を上げ、円換算すると100万円の利益であったとしましょう。個人での海外先物の利益は雑所得・総合課税に区分されるため「給与所得と合算して課税」されるという問題があります。税率は累進課税となるので、かなり高額になる可能性があり、下手すると利益の半額程度を納税するはめになります。一方、損した場合は給与所得と合算されませんし、翌年に繰り越すこともできません!とても不利な税制になっています。
日本国内の取引会社で原油CFDを売買したときの利益は、個人の場合は、分離課税であり、税率は約20%です。このため給与所得をいくら貰っているか関係なく、わかりやすく約2割の税金で済む上、損失の繰越も可能です。表にしてみましょう。
取引対象 | 税区分 | 税率 | 損の繰り越し |
---|---|---|---|
WTI原油CFD | 雑所得で分離課税 | 約20% | 3年間可 |
WTI原油先物 | 雑所得で総合課税 | 最大約45% | なし |
※約20%、という表現にしている理由について。以前は所得税15%+住民税5%=合計20%ピッタリで分かりやすかったのですが、現在「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」のため、復興特別所得税がかかります。その額は所得税率の2.1%なので正確な税率は15%x1.021+5%=20.315%となります。
以上の話を簡単にまとめると、以下のようになります。
・CFDは資金の5~20倍分の多様な銘柄を売買でき、利益(損失)の金額のみをやりとりする
・短期で大きな利益を得られる可能性があるが、投下資本を上回る損失を蒙る可能性もある
・値下がりすると利益になる「売り建て」を行うことができる(もちろん買い建てもできる)
・税金は分離課税なので給料とは別計算でFXと同様に約20%の税率
原油CFDを扱うCFD会社の比較。銘柄、手数料、スプレッドなどなど。
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