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管理人のNaokiです。 東京在住、フリーランス(一人法人) 石油、FX、株のトレードをしながら、Web作成を行ってます メール:crudeoil123com◎yahoo.co.jp (◎を@に変えて下さい)

1699と1671って何が違う?比較してみる。

ETFは上場投資信託と呼ばれており一般の株式(例えばソニーやトヨタ自動車など)と同じように取引所で自由に売買ができます。ETNは指標連動証券と呼ばれておりETFと同様に取引所で自由に売買ができます。最低取引単位が定められておりますが、小資金から投資できるものが大半です。例えば1699「NEXT FUNDS NOMURA 原油インデックス連動型上場投信」は2016年5月13日時点で360円であり、売買単位が10株ですから僅か3600円で原油投資が可能です(別途売買手数料は必要です)。1671「WTI原油価格連動型上場投信」は2016年5月13日時点で2348円であり、売買単位が1株ですから僅か2348円で原油投資が可能です(別途売買手数料は必要です)。東京市場で活発に売買されている原油のETFはこの2つですが、2038「NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油 ダブル・ブル ETN」というETNも活発に売買されてます。2038は少々特殊ですから別ページで研究してみます。

ところで、1699と1671って何が違うんでしょうか?
対象指標は、1699が「NOMURA原油ロングインデックス」で、1671が「NYMEXにおけるWTI原油先物の直近限月の清算値を円換算で表示したもの」となっていますが、両者に大きな違いはあるんでしょうか?

NOMURA原油インデックスは、「取引量が多く流動性が十分あるものを構成銘柄として採用」していますが、これは具体的にはNYMEXにおけるWTI原油先物のことを指しています。原油先物は毎月期限を迎えるために限月交代(ロールオーバー)してゆきます。NOMURA原油インデックスはけっこう細かいところまで運用ルールを開示しておりまして、超簡単に要約すると、概ね第5営業日にロールオーバーする、と書かれていました。
JPXのETFのページにあるPDF資料では、1699の対象指標は「NOMURA原油ロングインデックス」としか書いてありませんが、野村アセットマネージメントの発行した投資信託説明書によれば、「NOMURA原油ロングインデックスを対象指数とし、日本円換算した対象指数に連動」と記載されています。

1671のロールオーバーに関しては、筆者が必死に探した限りにおいては、「NYMEXにおけるWTI原油先物の直近限月の清算値を円換算」よりも詳しい情報は得られませんでした。ロールオーバーする日が分からないのであれば「直近限月」が一意に決まりません。というのは、直近限月(第1限月)と第2限月の値鞘は日々変化するから、その分の影響が見積もれないからです。

とは言うものの、1699と1671との間に大きな違いがあるとは思えません。どちらもWTI原油価格と為替に応じて価格変動することは確かなのだから、両者のチャートを重ね描きしてみれば、だいたい同じなのか、けっこう違うのか一発で分かります。早速比較してみましょう。

野村原油ETF(1699)と、シンプレックス原油ETF(1671)の比較チャート

はい、予想通り、だいたい一致しましたね。細かく見ると2015年前半は1699のほうが若干アウトパフォームしてるなあとか、2016年に入ると1671のほうが若干アウトパフォームしてるなあというのが分かりますが、大差はないようです。時期によって強弱に若干の差異があることからこれらの違いは、信託報酬の差異を反映しているわけではなさそうです。ということは、どっちがいいか?というのはこれだけでは判断できません。

じゃあ分配金の多寡で比較してみましょう。1699では投資信託説明書に「信託財産から生ずる利子・配当等収益から経費を控除後、全額分配することを原則とします。ただし、分配金がゼロとなる場合もあります。また、売買益が生じても、分配は行ないません。」と記載されています。WTI原油先物を買い建てる場合は、証拠金と呼ばれる一部の代金だけを積めば良いため全資金を原油先物に投入しているわけではなく、余った資金は米国債で運用しております。これによる利息が十分にあれば、配当することもあるけどゼロになることもあるよ、ということを言っているのだと思われます。これまでの実績では分配金はずっとゼロ円です。1671の分配金に関しても概ね同様であり、これまでの実績はずっとゼロ円です。金利が上昇してくると分配金が発生する可能性があると思いますが、この低金利のご時勢では、無いと思っておいたほうが良いでしょうね。

次に純資産額を比べてみると2016年6月9日現在、1699は437億円、1671は507億円でした。どちらも十分な市場規模がありますね。特に寄付時は十分な板の厚さがあるので成行注文で1000万円分買ったとしても、さほど不利な値段にはならないと予想されます。マーケットメーカーが十分な数量で上下に指値していますからね。もしデイトレするなら1671のほうが良いかもしれません。というのは、1699は1円単位で動くけれど値位置が低いので、買い気配と売り気配の板が分厚すぎて値動きが重く小幅抜きトレードが困難だからです。下図は松井証券のツールで見た2016年5月30日の午後の某時間の板画面です。こんな感じで1699は最小値動きの価値が大きくて値動きが重いので、1671のほうがデイトレ向きだと思います。1699が1円動くとき1671は10円以上動くわけですからね。

野村原油ETF(1699)と、シンプレックス原油ETF(1671)の板画面の比較

証券コード 1699 1671
名称 NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信 WTI原油価格連動型上場投信
上場市場 東証 東証
上場日 2010/5/17 2009/8/3
ベンチマーク NOMURA原油ロングインデックスが対象指数で円換算 WTI原油先物の直近限月の清算値の円換算値
純資産 437億円(2016/6/9) 507億円(2016/6/9)
運用会社 野村アセットマネジメント シンプレクス・アセット・マネジメント
信託報酬 年率0.54%(税込み) 年率0.918%(税込み)
決算月 2月 1月、7月
運用原油先物 NYMEX及びICEのWTI原油先物 WTI原油先物
余資の運用先 米国債 米国債
分配金 設定来の累計分配金は0円 設定来の累計分配金は0円
売買単位 10口 1口
最低投資金 3780円(2016/6/10) 2472円(2016/6/10)

補足。NYMEXとはNew York Mercantile Exchangeのことで、現在はCMEグループを構成する一部門となっているようです。WTIとはWest Texas Intermediateの略でアメリカ合衆国で産出される主要な原油の名称です。原油は産地によって成分や性質が異なるのですが、簡単に言うと、ガソリンなどの高付加価値な石油製品をたくさん作れる良質な原油、と考えてよいです。
補足2。1699はICE(Intercontinental Exchange)のWTI原油にも投資しておりますが、NYMEXのWTI原油と同じであると考えて差し支えありません(清算価格は同じになります)。

筆者は1671を時々デイトレします。ただしこれは原油との相関が高い株のヘッジ目的の場合であって長期買い持ち(あるいは売り持ち)はしません。というのは1699とか1671って東証が開いてる時間しか売買できないので、原油がよく動く時間帯に取引できなくてモヤモヤするためです。取引時間のことを考えると東京商品取引所の先物か、原油CFDのほうが適していると思います。先物はサイズが大きいのでCFDのほうが利便性は高いかもしれません。

<追記事項(2020年4月24日)>

WTI原油先物2020年5月限がマイナス価格になった影響で原油ETFが、緊急的に、早めにロールオーバーしています。本来の運用ルールでは6月限の先物のロールオーバーは5月に入ってから実施されるはずですが、ETFを守るために仕方なく実施したものと思われます。米国市場のUSOでも同様の施策(6月限を40%、7月限を55%、8月限を5%に変更)が行われています。

4/22時点における1699の原油先物の保有数量は以下の通りです。
WTI原油先物2020年 7月限 7000枚 (ICE)
WTI原油先物2020年 8月限 6500枚 (NYMEX)
WTI原油先物2020年12月限 6400枚 (NYMEX)

詳細はここのページのお知らせを参照下さい。(但し古いものは消えていくので古いものは見れなくなります)

4/22時点における1671の原油先物の保有数量は以下の通りです。
WTI原油先物2020年 7月限 24064枚
WTI原油先物2020年 8月限 6025枚

1671の保有数量は関しては4/23の適時開示に掲載されておりますが、これも時間が経過するとどんどん消えてしまいます。

上記の緊急的なロールオーバーにより、1699と1671の今後の価格変動率には、僅かな差異が発生する可能性があります。というのは限月によって騰落率が微妙に異なるからです。

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先物つなぎ足を見ると騙される

個別株のチャートを見る場合、チャートは株価の上げ下げをそのまま反映しています。まあ、細かく言うと配当落ち分を補正するかどうかや、株式分割の影響も考慮して修正したりするわけですが「先物つなぎ足」のチャートを見たときのような大きな落とし穴はありません。

一般に、原油先物は決済期限があります。ニューヨークの原油先物は、執筆時点において2024年12月限までの限月があります。取引期限が、2年先くらいまでの先物は一ヶ月おきくらいの限月があります。限月とは決済期限を迎える月のことですが、原油先物の場合は、一つ前の月が実際の決済期限となります。例えば2016年12月限の実際の決済期限は2016年11月の半ば頃です。

海外市場においては、多少の例外があるものの、最も決済期限の近い限月の取引量が多いことが多いです。ニューヨーク市場で最も取引量の多いWTI原油先物の場合でも同様ですが、一ヶ月ごとに次々に決済期限を迎えるため、一ヶ月以上の長期のチャートを表示させる場合は、限月の異なる先物のチャートを繋げていきます。これを「先物つなぎ足」と言いますが、異なる限月の先物価格は微妙に異なるので、一ヶ月ごとに繋いでいくと、僅かな差がどんどん積みあがっていくので「こんなに上がってるじゃん」と誤解を招きます。

極端な例を挙げてみましょう。リーマンショック時には原油が暴落しました。このとき、例えば2009年2月6日のニューヨーク原油価格の終値は、
2009年3月の先物 40.17ドル/バレル
2009年4月の先物 46.15ドル/バレル
2009年5月の先物 48.85ドル/バレル
のようになっていました。

先物つなぎ足は、決済期限の異なる先物を無理矢理繋げて作るため、もしこの日に繋げるとすれば、いきなり価格が6ドル上がったように見えます。こういう操作を毎月行っていくことで、どんどん誤差が蓄積され、「原油価格が見かけ上、大きく上がってる」ように見えてしまうわけですね。これを防ぐためには、決済期限の異なる先物のチャートを繋ぐとき、その差を、毎月修正していきます。これを「修正先物つなぎ足」といいますが、これは自分で作成するしかありません。

原油ETFは決済期限が来るたびに期限が短い先物を売って期限が一ヶ月長い先物を買いなおしていますので、先物つなぎ足が上のような理由で上がっていたとしても、ETF保有者はその上昇分を享受できません。修正つなぎ足に応じた上昇分しか享受できません。

2008年~2009年におけるWTI原油先物つなぎ足、修正したつなぎ足のチャート

原油ETFの基本的なしくみ

原油のETFは、基本的に原油の先物を買うことで作られています。話を単純にするために以下のような仮想ETFを考えてみます。

発行総額:100億円(額面1000円で発行株数が1000万株)
為替:1ドル100円
原油先物:1バレルあたり50ドル

原油先物の取引単位は1000バレルです。先物の売買数量の数え方は「枚」(まい)です。1枚の原油先物を買うということは、1000バレルの原油先物を買うことを意味します。5枚なら5000バレル分です。

この仮想ETFを作るためには100億円分(1億ドル分)の原油先物を買います。原油先物1枚あたりの原油価格は50000ドル(50ドルx1000バレル)ですから、1億ドルを50000ドルで割ることで原油先物の保有枚数が計算できます。2000枚になりますね。さて、ここで原油が55ドルに上昇したとすると、保有している原油先物の価額は55ドル/バレル×1000バレルx2000枚=1.1億ドルになります。さらに、為替が1ドル105円になったとすると、1.1億ドルx105円/ドル=115億5000万円になりますね。1株当たりで見ると1155円になり、原油値上がり分と円安分のおかげで値上がりを享受できていることがわかります。
ここまでは言われなくても当然そういう仕組みでしょ、と皆さんが考えている話だと思います。

しかしながら、原油ETFで資産運用する場合の想定シナリオの一つとして「長期的に見れば原油価格は上昇するだろうから、今のうちにじっくり仕込んでおこう」というものがあると思います。短期売買の場合はさほど問題にならないのですが、原油ETFを長期保有する場合、先物市場特有の性質によりETFが少しずつ目減りする場合があるので注意が必要です。一般に、先物には取引期限があり、取引期限のことなる先物は全く別物として取り扱われます。2016年5月先物と2016年6月先物は別のものとして扱われる、ということです。5月の先物は「5月限」(ごがつきり)、6月の先物は「ろくがつきり」と呼ばれます。

例えば2016年5月27日のニューヨークの原油先物(WTI原油先物)の終値は、
2016年7月限 49.36ドル/バレル
2016年8月限 49.74ドル/バレル
2016年9月限 50.13ドル/バレル
のようになっていました。

ニューヨーク市場の原油先物は決済期限が短いものほど取引量が多いため、ほとんどの原油ETFにおいては、決済期限のもっとも短い先物を買い持ちしています。取引期限が来る前に、決済期限が短い原油先物を売って、一つ先の決済期限の原油先物を買いなおします(これを「限月乗り換え」(げんげつのりかえ)、「ロールオーバー」などと言います。取引期限は月によってまちまちですがWTI原油の場合は、概ね前の月の中旬頃です。ロールオーバーは取引期限ギリギリの日に一度に行われるわけではなく、もう少し前に行われます)。やっかいなことに、原油価格が低迷しているときは、期限が先の原油先物ほど値段が高いことが多い、という特徴があります(期限が先のものほど値段が高いことを「順鞘」(じゅんざや)とか、「コンタンゴ」と呼びます)。このため、7月の先物を売って8月の先物を買うと「安い値段で売って、高い値段で買い直す」ということになってしまいます。これを延々と毎月繰り返すことにより、原油ETFの価値どんどん目減りしてしまうわけです。証券会社などで原油の無料チャートを見ることができますが「期限が最も短い先物価格を繋いでいったチャート」になっていることが多いです(先物つなぎ足とか、期近つなぎ足と呼ばれます)。一見、儲かりそうに見えますが、実際には、期限が来ることに乗り換えが必要なので、乗り換え時に損をする分を考慮しなければ、実際の投資損益を反映していないことになるわけです。

先ほどの仮想ETFでは原油先物を50ドルで2000枚買い持ちしている、としましたが実際の原油価格で計算しなおしてみると、2016年7月の先物価格49.36ドルで1億ドル分を買うとすると、2026枚になります。そして2016年8月にロールオーバーすると、49.74ドルで買いなおすわけだから2010枚に減ってしまいます。総額は一緒ですが、高い価格で買いなおすわけだから、保有する原油先物の枚数が減るわけです。数量が減るので、その分、値上がり益も減るわけです。

実際にETFに投資したときに何%くらい損するかは、乗り換える原油先物の価格の比で見れば良いです。例えば49.36を49.74で割ると0.9924となるので1回の乗り換えで0.76%損するわけです。毎月、同じ割合で損するのを12ヶ月継続すると仮定すると0.9924の12乗ですから0.9125となり、1年で1割近く目減りすることがわかります。ただし決済期限の異なる原油の価格の差は毎日変動しているので、実際には、これよりも大きく減る場合もあるし、それほど減らない場合も考えられます。以上のような理由により、原油先物が順鞘のときに原油ETFを長期で買い持ちすると、ETFの仕組み上、目減りは避けられません。原油ETFを買うのであれば、原油先物の順鞘が小さくなっているときか、あるいは決済期限が短い先物ほど値段が高くなっているとき(「逆鞘」(ぎゃくざや)とか、「バックワーデション」といいます)のときが良いと思います。

原油先物ではなくて金融機関が作っている店頭スワップで組成されているETFもありますが、スワップを提供している金融機関は、原油先物でヘッジしている可能性が高いです。このためETFを買うわれわれの受ける経済的収支の点から言えば、ほぼ全てのETFは原油先物でできていると考えても差し支えないと思います。